ジターバグ “薔薇の花嫁”
「駄目だねー油断しちゃって」
最新の設備が揃うセキュリティ室も一度開いてしまえば此方の有利。ましてや密室。催涙煙幕でも催眠ガスでも放り込めば一発だ。フランシスは横たわる警察官や警備員を尻目に堂々と足を組んでコントロールパネルの前に陣取っていた。
カタカタと慣れた手つきでキーボードを弄り、警備の状況を確認していく。複数あるモニターに博物館の様々な場所が映し出されてはまた消える。そのうちの一つを掠めた影にフランシスは目を留めた。そこだけを元の画面に戻すと、2人の警察官が展示室の中に入っていくところだった。アーサーとアルフレッドだ。
「懲りないねぇ…」
呟いてフランシスは口元に笑みを浮かばせる。
「ま、お兄さんは予告時刻までここでのんびりさせてもらおうかな」
作品名:ジターバグ “薔薇の花嫁” 作家名:久住@ついった厨