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toccata

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外にいる時とカメラが回っている時以外の状況だと、カミュは常にこんな感じである。
最初は戸惑ったものの、社長の、

「高貴なツンデレは至高の存在デェス」

の鶴の一声で所属が決まったようなもので、事務所に置いての社長の言葉の重さを考えるとそちらを優先しなければならないのだ。
最初は戸惑いもあったが、慣れてくると遠くからみているようなものは、「コントみたいだな」と言って笑ってくれる。
今この場にそう言う存在がいないのは少し寂しくもあり、若干心の安定感は得られづらい状況なのは心配も膨らむのは事実。
だが、それでも対応していると一瞬見える彼なりの”優しさ”に触れる事もあり、新しい発見があると言うのは対人間を生業にしているとそれは「楽しみ」の一つなのだ。
知らない事を知る、これはとても大きな、意義のある行為だと思う。
人と接する時はその人それぞれのルールがあるのを理解している。
カミュの場合、こちらが彼の設置している地雷を踏まずにいれば”気持ちよく”その場にいて貰える。
火の粉は降りかかってこない。
時々踏んでいないのに勝手に怒る時もあるが、それはそれでご愛敬、だ。

「カミュさん、明日も早いので早めに量にお帰りになられた方が良いですよ、もう22時近いですし」

自分が如何に今週働いてきたかを話している姿を見続けているのも少々疲れたのと、帰宅をしたい気持ちがわき上がってきたので、時間を知らせて帰る事を促す。

「ん?おぉ、そうか…確かに、ふむ…もうこんな時間か。忙しいと時間が過ぎるのが早いな」
「そうですね」
「では、失礼する、御苦労」
「お気をつけて〜」

パタンと扉が閉まって、事務所内に一人取り残される。
ふぅ、と溜め息をついてパソコンの電源を落とす準備、同時に帰宅する準備をした。
窓の外は夜景が綺麗だった。
陽が昇れば、今目の前の光は消えて、自然の温かみの中で過ごす。
夜は夜で、冷たい光だが、色で癒される。
温かみの質の違いはあっても、とても慰められ、そして元気を貰える、そんな気がしている。

(事務所のアイドル達も、みる人達に取ってそんな存在でありますように…)

ぶん、という音を立ててパソコンが稼働を停止する。
祈り願いながら、事務所の電気を消してドアに鍵をかけた。


■□■□■□■□■


23時26分。

事務所の電話が鳴る。
何度かコールが合って、留守電に切り替わる。

「もう誰もいないのか?そうか…じゃ…明日連絡すればいいか」

ガチャリとメッセージの途中で電話が切れた。
真っ暗な部屋に小さな青や、緑、橙の小さな色が落ちている。
明日もまた、光の中で彼らは彼らのアイドル達やスタッフ達を支える仕事をするのだ。

作品名:toccata 作家名:くぼくろ