tremolo
おまけ視点・セシルの場合
「何でオトヤが、この部屋ニ?」
「あー、じゃんけんでそう決まったんだ」
「ジャンケン?」
さくじつ、ワタシは社長に呼ばれて、ハルカと曲を創るようにと命じラレタ。
ホテルにスシズメになって作業をしなければナラナイ…。
低い屋根のシタにいることは、別に苦ではナイ。
とても楽しいナカマがいる。
それに、愛しきmy princess、との作業ナノダ。
タトエひの中、みずの中。
最初の週は、今目の前にいるオトヤと今回のパートナーだったトキヤ。
前の週は、今朝帰る準備をして見送ったショウとナツキ、ダッタ。
今週が、ワタシの番。
(ワタシはミナと違って、ひとり…のはず…)
オトヤは、エンヤコラと持ってきた荷物を下ろして部屋にとまる準備をしてイル。
本当は、ワタシは一人でこの部屋にイル予定…ダッタ。
「あれ?メール確認してないの?」
ワタシの状況を飲みこめない表情を読み取ったのか、オトヤが質問してキタ。
「メ…ー…ル?」
「そう、ほら、今朝のメール」
「あ、…確認してナイ」
「ええ!?マジ!?今確認してよ!!」
オトヤに言われて、ワタシは事務所から支給サレタ携帯を見る。
----まだホテルでの生活が慣れないようだから、一人こちらから配置する。
そんなに気を遣う相手じゃないから気にするな。
何か問題があったら、今日の15時までに俺に返信しろ。(from リューヤ)
「ノゥ、見過ごしてマシタ。…すみまセンダミツオ」
「え?」
「あ、今日のレッスンはお笑い、でシタ。時々ギャグをイレル事で、自分のしでかしたミスを軽減デキル、と聴きマシタ」
「そ、そう…でも何かそれちょっと古い感じがする…」
「ソウ?ですか?」
「うん…ちょ、ちょっと時代が違うというか何と言うか…」
「ワタシ、その時代にニホンにいなカッタ。分からナイ…」
「あ、そうか…御免ね」
オトヤは、困ったような残念そうな表情をして、ワタシに謝る。
「何か、セシルはお笑いのレッスンが多いね、何でだろ?」
「エエ、理由は分かりまセン…。でもニホンの文化、お笑い知ルト分かる、と社長がいってマシタ」
「ま、まぁ…確かに…。それにしても、本当にセシルは勉強家だよな」
「ベンキョウカ?それは突っ込みデスカ?」
「いやいや、違う違う。勉強を一生懸命やる人、って事」
「オォ、ワタシはベンキョウカさん、デスカ?」
「うん!きっとセシルは、ニホンとセシルの国、ううん、世界を結ぶアイドルになれるよ!」
彼の瞳の奥には銀河がある、とワタシは思う。
キラキラ輝イテ。
音楽の女神(ミューズ)に護られているハルカとは違う。
別の、音楽の神でアル誰かによって、護られ導かれる存在ダト。
「オトヤ、ワタシ頑張りマス」
「うん、俺も負けないように頑張るよ!」
オトヤは私の手を取ッテ、力をぐっとこめてキタ。
彼のタマシイの音が、ワタシに流れ込んでクル。
(彼の音は、とても気持ちが良い…)
それと同時に、何故か懐かしい気持ちがスル。
ワタシは、どこかでこの「音」に出逢ってイル、そんな気が。
ふと何故か過去がよみがえってキタ。
昔、母が自分の国の言葉で歌っていたトキ、知らない言葉のヒビキにワタシは怯えてイタ。
それに気がツイタ母は、ワタシ手を取り、ぐっと力を入れて、温度をワタシに送ってくレタ。
すると、身体に流れ込んでクル不思議な音の連ナリと言葉は、ワタシのタマシイに訴えかけてキタ。
(心配する事はないのよ、言葉に縛られないで、音楽をもっと楽しみなさい)
そう誰かの声が聞こえた。
そんな気がシタ。
「ありがとう、オトヤ」
「ん?」
ワタシは彼の瞳をジット見て、my princessへの誓いもコメ、宣言する。
「コレカラ踏みダス一歩を、最高の音とトモに、世界へ伝える事ヲ誓いマス」
愛しい人。
世界にヒビク、ワタシとアナタの愛の歌を、どうか…。