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金色の双璧 【単発モノ その1】

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Scene 01. 出会い



1.

 地中海をひっくり返したようなとても綺麗な青空が広がっていた。吹く風も心地よく、絶好の遊び日和だった。
 アイオリアは午前中の訓練を終えて、食堂に駆け込んだ。
 すでにイイ匂いを放っていた用意された昼食を一気に口の中に詰め込んで、無理矢理、ごっくんと呑込むと、少し離れた席に着いていたミロに向かってスプーンを握り締めたまま合図する。
 「こら!」というアイオロスの叱責にアイオリアは首を竦めたが、ハムスターのように頬を膨らませ、アイオリアと同じようにスプ―ンを掲げて、ぶんぶん振り回して答えるミロの姿にウンとアイオリアは大きく頷いた。
 ミロの周りにいるヤツらは飛び散ったスープがかかって、迷惑そうに口を尖らせていた。
 つい最近、顔合わせしたばかりだったけど、ミロとはすっかり意気投合した。今日は午前中の訓練が終わったら自由時間だったから、ミロを誘って一緒にゴルゴーンの丘に行こうと約束していたのだ。昨日から、とてもワクワクしていた。
 ゴルゴーンなんて物騒な名前がついている丘だけれども、そこから見える海や町並みはとても素晴らしかったし、少し森に近づけば、動物もいるのだ。虫だっていっぱいいる。探検にはもってこいなのだ。
 ミロもギリシャ生まれだと聞いていたけど、小さな島から出て来たとか言っていたから、ここら辺りのことを色々と教えてあげなくちゃいけないからな。
 兄ちゃんのことは大好きだったけど、やっぱり同じ年のヤツと遊ぶのは楽しい。
「ごちそうさま!」
 がちゃがちゃと乱暴に食べ終えた食器を重ねて、食べ終えた食器をつけておくシンクに投げ入れる。勢いづいてシンクに張られていた水が少し跳ねたけど、どうでもよかった。
「早く、早く!」
 最後の一口を頬張っていたミロの真横に駆け寄って急かすと、ミロはウグウグと少し苦しそうに口の中の食べ物をロクに噛みもせず、コップの水で無理矢理流し込むと、「ごちそうさま!」とミロもまた威勢よく食事の終了を告げ、食器を片付けに行く。
「リア、行くぜ!」
「おうっ!」
 がっちりと手を取り合って、食堂から飛び出して行く。その後ろ姿に向かってアイオロスが慌てて声を掛けるが。
「おい、こら、おまえたち……って、ああっ!もう……あんなところまで」
 頭が痛いというように顔を俯かせ、右手でこめかみを押さえていたアイオロスの肩をポンと軽く叩く者がいて、アイオロスが顔を上げた。
「ああ、サガか」
「相変わらず、だな。というより、さらに倍増だな」
「悪ガキが増えたからな〜。先が思いやられる」
「本当だ。これからまだ増えるのだからな……きっと苦労すると思うぞ」
 兄貴組の危惧なんてまったく意に介さないだろう子供たちの傍若無人ぶりを思い、遠い目をする二人だった。