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金色の双璧 【単発モノ その1】

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3.

「いたた……いたいよ、兄ちゃん」
「うるさい、このバカが!」
 ゴンッ!とさらに拳骨が頭に落ちて、目の前に星が散った。「ひでえーよ、兄ちゃん」と半べそかきながら、アイオリアはあちこち乱暴に消毒されては軟膏を塗られて、絆創膏を貼られまくっていた。
「まったく、おまえはロクなことしか仕出かさないな。明日、ちゃんと謝るんだぞ?」
「………」
 いやだよ、と内心で舌を出しているとちゃんと見破っているらしいアイオロスにまたもや拳骨を喰らう。「いてー!」と頭を抱えるアイオリア。
「返事は?」
「ハイ」
「はぁ……おまえな、こっちの身にもなれよ?おまえは兄ちゃんの拳骨だけで済むけど、俺は教皇様から雷落とされるんだからな……」
 虚ろな目になるアイオロスに少しだけ、反省心がアイオリアにも芽生える。教皇様が怒っているところを目にした事があるが、それはそれは悪鬼の如く、恐ろしいものだった。
「本当にごめんなさい」
 しおらしくなったのを見てようやくアイオロスも納得したのか、くしゃくしゃとアイオリアの頭を撫でた。
「あの子たちは最近来たサガっ子だったから、まだお前らに紹介してなかったんだよ。若干一名、ちょっとばかし人見知りが激しかったし、まだ、ここの空気に馴染めてなかったんでな。もう少ししてから、紹介するつもりだったんだよ」
 サガとアイオロスで最近加わった子供たちを分けて世話しているということをアイオリアは知らなかった。アイオリアとミロ、あとアルデバランってヤツを「ロスっ子」って二人の間では言っているらしかった。
 そして「サガっ子」は取っ組み合いしたムウともう一人のあの子、シャカっていう名の子。それから、今はいないけど来週頃に加わるらしい、カミュとかいう子。
 あとはサガっ子でもロスっ子のどちらでもない、ちょっとお兄ちゃんなデスマスクとシュラとアフロディーテたちだ。彼らはもう独り立ちして、卒業したらしい。
 そんな話をアイオロスから聞いて、ちょっとだけ、アイオリアは残念に思った。シャカが「ロスっ子」だったら、良かったのに……と。
「ねぇ、兄ちゃん」
「なんだ?」
「俺、サガっ子になりたい!」
「阿呆か!」
 ゴンっ!
 容赦なく、本日、何度目かの拳骨にアイオリアはまたもや目の前に星が散ったのだった。