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金色の双璧 【単発モノ その1】

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2.
「うわっ!―――アイオリア!?いつからそこにいたんだ?なんとまぁ……おまえ死にそうな顔しているんだよ。一体、何があった?」
 人馬宮でウィリアムテルよろしく、弓矢で遊んでいたアイオロスは柱の影でぬぼ〜っと立っていた弟の姿にようやく気付いて、驚きながらも声をかけた。
「―――兄さん……俺、シャカを怒らせてしまったようだ」
 またか?とアイオロスは呆れ顔で、悲壮感ぷんぷんの弟を見ながら、どうせいつものことだろうと軽口を叩きながらも、面白半分で悩みを聞いたのだが。
 それはたぶん話しているアイオリアからすれば、彼自身「シャカを怒らせた」程度で凹んでいるものだろう。この弟はあまり深刻に受け止めていないのだとアイオロスは思った。
 どうやら、ことの深刻さを判らせる必要があるようだと踏んだアイオロスは非情に徹する決意をした。
「―――おまえ、アホだな。最低。もういっぺん死んでこい」
「わかってるさ、最低なことを言ったんだろうってことくらいは。でも、俺はそんなことを言った覚えがないんだ」
「それがアホだって、言ってるんだ!最低だってな。そんなこともわからないのか、おまえ」
 やっぱりアイオリアは事の深刻さを受け止めていないのだと呆れ、嘆息まじりに説教モードになる。
「は?」
「は?じゃないだろう。一番の問題は言ったことを忘れてしまっていることだ。怒らせたんじゃない、悲しませたんだよ、シャカを!もういい。おまえ、的(まと)になれ。徹底的にわからせてやる。...な?サガもそう思うだろう?」
「――――――ああ」
「え?」
 どんよりと暗い声が不気味に背後からかけられる。恐々とアイオリアは振り向いた。そこには陰気模様を背負って立つサガの姿があった。
 僅かにサガの髪の毛が黒く染まっているような気がするなぁ〜と兄アイオロスの方は悠長に思っていたが、内容が内容だけに弟アイオリアは冷や汗モノだろうと気楽な傍観者気分だった。
「今の話をお聞きになっていましたか……?」
 思わずアイオリアが丁寧語で尋ねてしまうほどの迫力のサガである。じりじりとアイオリアは逃げ腰になっていた。
「もちろん……しっかりとな。あの子にそんなことを言っていたなどとは......私は言ったはずだ。無体なことはするなと。これはもう......アレだな。アイオロスよ、良いか?」
「ああ、かまわないぞー。好きにしてくれ」
 丁度いいとばかりにサガに役回りを頼むアイオロスである。
「アレってなんだ!?好きにしてくれって、どういう……うわぁ!?兄さ〜〜〜〜んッ!!」
 思わず、瞬のような叫びを上げながら、サガの教育的指導(ギャラクシアンエクスプロージョン10連発+アナザーディメンション10連発)を受けるアイオリアをアイオロスは生温い目で見守るのであった。


 ―――数時間後。


 ちんまりと正坐というものをしながら、サガの説教を延々とアイオリアは喰らったのち、ようやく解放された頃にはどうやら足が痺れきっていたらしく、その場から動けなくなっていた。
 サガに「あとは俺から説教しておく」とアイオロスは伝え、若干黒いままのサガをさっさと人馬宮から追い払うと、ツンツンとその痺れきったアイオリアの足を突っついては悶える姿を見て楽しみながら、にこやかに切り出した。
「おまえさ、シャカのことぜーんぜん、知らないんだな。あの子がここに来た経緯とかさ、そりゃ俺もサガも言わなかったから仕方ないかもしれないけど。シャカ自身がおまえには話しているかと思ったけど、そんなこと言われたら、シャカも言うはずないよなぁ」
「知らないって……何を……うぉ!兄さん、やめ…うわっ!」
 言ってる傍から、地味なツンツン攻撃にアイオリアは悶絶しながらも、アイオロスの言わんとしていることにようやくアイオリアは気付いたらしく、ムッとした表情を浮かべたのだった。