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金色の双璧 【単発モノ その1】

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3.
「あぁ…最高に美味しかった」
「それはよかったな……私は身からすべて、骨さえも食われた気分だ」
「そういうな。起こしたのはおまえだろ?」
 ぶつぶつと不満を訴えるシャカを焦るようにアイオリアが宥めると、差し入れの在り処をシャカから聞き出してぐったりと横たわるシャカの口元へと食べ物を運んだ。
「ここは食卓ではないが」
 そういいながらも、差し出された食べ物をぱくりとシャカは頬張り、再び顔を突っ伏すと静かに咀嚼した。
「たまにはいいさ、こういうのも」
 どれにしようかと迷った挙句、取り出したひとつをアイオリアは満足そうに頬張る。そしてごろりとシャカの隣で横になった。
「昼間はありがとうな。おかげで黄金聖闘士の凄さがわかったらしい」
「それはよかったではないか」
「ん…だがな、俺じゃなくておまえが凄いんだとさ。こんなことなら手加減しなければよかったと少々悔やんだよ」
 がっかりしたようにいうアイオリアであったが、その顔は笑っていた。
「何がどうなって、そういう結論になるのかね?彼らは」
「アメと鞭ならアメが好きというところだろうな。地獄の淵でおまえに癒して貰ったもんだからなぁ、あいつら。今頃きっと拝んでいることだろう。今度からおまえ、キラキラ目で見られるぞ?」
フフンと鼻を鳴らし、軽口を叩くアイオリアを軽くシャカは睨みつける。
「茶化すな。どうせよからぬことを吹聴したのだろう、おまえが」
「自慢の恋人だろ?自慢したくなるのは当然だからな!おまえの凄さを講釈たれてやった。珍しいだろう?この俺が拳より口で語ったんだぞ?」
 どこまでが本気でどこまでが冗談なのか計りかねると頭を抱えるシャカなのだが、アイオリアは機嫌上々といった風であった。
「ま、どちらにせよ上を目指そうという気持ちを持ったようだし、俺の目論見は果たせたわけで感謝しているよ」
「今度そういう機会があった時は私が引導を渡してやる。その時はおまえが生死の淵にいる者を救護してやりたまえ。それこそ君が尊敬の念を抱かれることであろうからな」
 皮肉たっぷりと、もはや脅迫に近い返事をかえされて、少々情けない顔をしながらアイオリアは慌てた。
「それは遠慮する!おまえは本当問答無用だからなぁ、あっちの世界に行ったきりになる可能性のほうが高いだろ。救護する自信ないよ」
「惰弱な。修行が足りぬようだ」
「へぇ…どの口がそういうのか。じゃあ、もう一戦交えるか?シャカ」
 今度は反撃とばかりに、にやりと不敵な笑みを浮かべたアイオリア。思わずシャカは激しく首を横に振った。
「修行が足りないなぁ、おまえ」
 やれやれと肩を竦めながら、わずかに嬉しそうな表情でアイオリアはシャカの額に軽くくちづけた。くすぐったそうにシャカは身じろぎながらもそれを受け止める。
「そんな修行などしたくもないし、聞いたこともないが?」
「そりゃそうだ。でも、まぁ実際そういう修行があったとしたら、すごいよな。超絶技巧!とかあったりして。んー…でも、おまえには参加して欲しくないかもなぁ。淫らを求めつつ、無垢をも求める…男心は複雑だよ」
「わけのわからぬことを。単純明快ではないか」
「単純か?」
「下半身でものを考えているということだ」
「なるほど……そうだな。はは!」
「笑って誤魔化すな、アイオリア。大体おまえは……」
 そうやって今日も夜が更けていく。
 他愛無い会話も触れ合いも二人の間では珠玉のひととき―――なのかもしれない。



Fin.