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混迷疑心のコンパートメント

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「ねえ…奥の部屋、なんか出てこないのおかしくない?」「このあたり変なのいるって言ってたよね……」
 さらに10分経過。スイーツどもの声が小さくなっていき俺はもう涙目だ。このままでは数分立たないうちに通報される! 万世橋に連行される!! かといって身一つ携帯1つで何ができるというのか、と思ったところで気がついた。ここまでずっと握りしめていた左手の紙袋。もしかしたら、これでなんとか窮地を脱出できるのではないか? 音を立てないようにそっと袋を開いてみると……

 なぜか女物のコスプレ衣装が入っていた。

 今ここに過去の俺がいたら、一発殴った後で事情を話すように懇願すると思う。白衣を着た不審人物が女子トイレでコスプレ衣装とともに発見されたらそれは性犯罪者以外の何者でもない。今の俺は断じて違うけれど誰も信じないだろう。本当に何するつもりだったのか過去の俺。万が一これまでのストレスで過去の俺が性犯罪者と化していた世界線だったら……状況の圧力で涙も出ない俺に天啓が訪れる。
 女子トイレにいて女物のコスプレ衣装を持っているということは、もしかして俺自身が! ルカ子の例もあるではないか。さっきのDメールでなぜか俺の性別まで一緒に変わってしまった世界線ということも考えられる!! 奇跡の可能性を信じて俺は股間に手をやり……慣れ親しんだ手触りに絶望した。
「ねえどうする?」と向こうからヒソヒソ声。
「変質者もやだけど、誰か倒れてても困るよね……」
 さっきまでの話の内容からどうやら近くのメイド喫茶の従業員たちのようだったが、このままでは俺のいる個室にやってくるのは目に見えている。もしかしてコスプレ衣装を来て出れば通りすがりのコスプレ少女に間違えられるかなと血迷ったりもしたけれどその方が罪が重くなるに決まっていた。どんなに絞ったって女声が出るわけもないし、世界の理を曲げ全てが許される神に祝福された俺たちの敵『イケメン』でもない。このまま俺は女物のコスプレ衣装を女子トイレに持ち込むHENTAIとして終わることになるのか。助手はタイムリープ装置を作ってくれるんだろうか。まゆりにはすごく困った顔されるんだろうな。ごめんな、まゆり……こんなところにいた俺を許してくれないか。

 近づいてくる2人の足音。俺は袋の中のコスプレ衣装を掴んだ。