結界師 小さい良守と火黒 他
兄と火黒
「お前、誰だ?」
そこにいたのは、兄という存在だった。
良守が学校にいる頃、火黒は良守の言葉通り留守番をしていた。
良守の妖となったとき、すぐに言えに連れていかれた。
それからは、ここの住人として住むことに許可を貰う。
「はやく良守帰ってこないかなー」
家の屋根の上で待っていた火黒は見知らぬ気配を知っていながら、烏森の方を向いていた。そこに掛けられた声。火黒は知っていた。それが、良守の兄だということに。
「何かよう?」
「…どうしてここにいる?」
「え、そんなの決まってるでしょ。良守の妖になったからだよ」
「…それは本当か?」
「本当だよ。良守の言でオレは嘘なんか言わない」
兄という人物は、不満があるらしい。
「……」
敵意丸出しの人物に火黒は笑う。
悔しい、憎らしい…そんな負の感情が兄という人物から取れる。弟の良守の側にいることを赦されている事に嫉妬して。
内でクスクスと笑いながら、火黒は大好きな主の元を見た。学校から出てくるところだ。
「良守が帰ってくる。…じゃあな」
火黒がいなくなり、正守は立ち尽くす。
「何が、どうなってるんだっ」
何ヶ月ぶりかに帰ってきた家にいた妖。
良守の妖といった。
「……」
そして、始まったのは対決?
作品名:結界師 小さい良守と火黒 他 作家名:とーすい