レグリ短いの4本詰め
「ん…」
ふと目が覚めた。辺りを見渡すとまだほんのりと薄暗い。今、何時なんだろうか。でも、それよりも気になるのは背中に感じる熱で、あまり身動きが取れないながらも体をそいつの方へ向けた。
「ったく…」
やはりその先にいたのは熟睡している幼馴染みの姿で、呆れて溜め息を吐く。こうやって朝起きると隣に寝ていることは昔からよくあったが、シロガネ山から戻ってきてからは回数が増えた気がする。
理由は分からない。負けたのを慰めてほしいのか、単なる気紛れなのか、それともまったく別のことか。ただ、どこか不安定になっているんだろうな、と思った。どうしてかなんて、本人ですら気付いていないかもしれない。
起こさないように注意しながらそっと頬に触れる。シロガネ山にいた時とは全然違う。温かい。
あの時に触れた体温を思い出して、僅かに体が震えた。
「ん…」
唸るような声に起こしたかと思い、思考を中断させてぱっと手を離す。ゆっくりと瞼が開かれ、まだ焦点の合ってない目がこちらを見つめてきた。
「はよ」
「…ん」
目は開いているものの、まだ頭は覚醒してないらしく返ってくる言葉は曖昧だ。もう少し寝てていいぞ、とそっと頭に触れると、その言葉に従って再びゆっくりと瞼が落ちていく。それを確認して、俺も同じように目を閉じ意識を手放した。
【おやすみ、いい夢を。】
作品名:レグリ短いの4本詰め 作家名:あおい