着ぐるみの着心地はいかが?快新編
そして当日を迎えた。
俺たちは朝早くにテーマパークに向かった。
簡単に説明を受けた後、着ぐるみと対面した。
その着ぐるみはあのドラッグストアの着ぐるみを彷彿とさせた。
うさぎの耳はなんだかちょっと短く、随分とアホ面だ。
そして兵隊の衣装は…手抜きだ。
だが、快斗は何故か気に入っている。
「このアホみたいなのが可愛い!!」
だそうだ。
だが、俺のはまだいい。
快斗のはデブなうさぎの兵隊らしく足が…いったい何処だ。
「それ歩けるのか?」
「んーきっと?」
そう言いつつ快斗は着々と着ぐるみを身につけていく。
そして最後に頭をかぶった姿は…
「ぷくく…あっははははっ最高!!」
「そんなに笑うことないだろ!!」
そういって俺に近づこうとするのだが、
足がほとんど無いのでペンギンのような歩き方になる。
ぺったぺったぺったぺった
「あっははっはは」
「もう、新一も早く着ろって!!」
「確かに可愛いぜ。ぷっくくく…」
腹筋の痛みが治まった後、俺も着ぐるみを着たら案の定盛大に笑われた。
でも、俺の方は細身で動きやすいので思い切り蹴った。
上手く歩けないデブなうさぎの兵隊を置いて、
風船を手に持ち、テーマパークの中央広場に向かう。
俺たちの仕事はパレードとかに出るでもなく、
ステージでイベントをやるでもなく、ただの風船配りだ。
まぁ事前に練習なんてご免だから俺はそれで良かったけど、
快斗は少し物足りないようだった。
あいつのことだから派手に目立つようなショーでもやりたかったのだろう。
作品名:着ぐるみの着心地はいかが?快新編 作家名:おこた