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着ぐるみの着心地はいかが?快新編

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そんなこんなで始まった風船配りだが、俺は結構楽しんでいた。
近づいてくる子供は可愛いし、風船をあげて喜ぶ顔を見ると嬉しくなる。
確かに着ぐるみは常に動いてなくちゃいけないし、暑いし大変だが、
こんな経験も悪くないかななんて思っていた。

が、快斗はそうでもないようだった。

少し離れた場所で風船を配っているのだが、
あいつに近づいてくる子供はどうやらいたずら好きのようで…

(あっ蹴られた。)

(あっ殴られた。)

さすがの快斗もイラッとしたのか子供を追いかけようとするが、何しろ足が短いので走れない。
本人は走ってるつもりかもしれないが、
ぺったぺったとまるでペンギンのような走り方は子供には大ウケで大声で馬鹿にされている。

(仕方ねぇな…)


俺は仕方なく、快斗を助けに行った。
俺が風船をあげると子供達は案外素直に喜び、立ち去っていった。



「新一…俺、子供嫌いになりそうだった。」

「まだ嫌いじゃないだけオメーは偉ぇよ。」


それにしても、さっき助けに行った時の顔、
正確には快斗の顔ではなくデブなうさぎの顔なのだが、それがすごく可愛かったのだ。
俺の方に手を差し伸べ、ぺったぺったと歩み寄って来て、
俺の手に届くと小声で「助けて」と言ったのだ。

「なんか新一凄く楽しそう。」

「ん?あぁ結構楽しいな。」

「ずるい。」

「何でだよ。」

「俺も子供にキャッキャッされたい。」

「されてたじゃねーか。」

「違う!! あれは敵襲だ!!」

「まぁ兵隊だしな。」


それから快斗は、たまりにたまったうっぷんを晴らすように話し出した。
この日をどんなに楽しみにしていたか、子供の笑顔をどんなに夢みたことか、
あんな馬鹿にしたような笑顔が見たかったんじゃない!!など…
そんなに大声で話したら、さすがにまずいんじゃないかと思ったのだが、
なかなか快斗は止まらなかった。
だが、突然叫んだ。

「あーーーーっ!!!!!」


「なっなんだよ?」

「えへへ思いついちゃった。新一、見ててv 俺の勇姿!!」