着ぐるみの着心地はいかが?快新編
ぺったぺったと歩き出し、自ら子供の輪の中に入っていく。
何をする気だ?と見ているとなにやら子供の注目を集めている。
そして、KIDを彷彿とさせる優雅な一礼…とはお世辞にも言えないようなぎこちない一礼をした。
手を前に出し、ひっくり返したりして何も無いことを見せている。
どうやらお得意のマジックをするみたいだ。
「確かに、その手があったな。」
俺も納得して快斗と子供達の様子を見守った。
片方の手で3、2、1、と数を数えて、子供たちも一緒になって数えている。
そして0の瞬間ボンッという音が鳴った。
子供たちはポカンとしてしまっている。
それはあまりにも凄いマジックだからではなく、
何が起きたのか分からないからでもなく、
ボンッと音が鳴った事以外何も起きていないことにポカンとしているのだ。
俺まで何やったんだ?と不思議に思ったその時、
デブなうさぎちゃんの目と口と首の隙間から白い煙が立ち上った。
かと思うと、口から鳩が一羽飛んでいった。
子供たちはそれで満足したみたいだが、あれはどう見ても失敗している…
ひとしきり子供たちが喜んだあと、ペコと頭をさげたデブなうさぎがぐりんとこちらを向いた。
ぺったぺったぺったぺった…
なんだか必死にこちらに向かって走って来る。
(しんいぢ~~~~~~~)
そんな叫びがなんとなく聞こえた。
「新一~助けて助けて~~~!!」
「オメーは何やってんだよ。」
「うわ~~~~ん」
「どこが勇姿だどこが。」
「しっしんいちぃ…」
「んだよ。」
「はっはとが・・・・」
「???」
「鳩が中で暴れてる~~~!!」
「はぁ!!??」
作品名:着ぐるみの着心地はいかが?快新編 作家名:おこた