着ぐるみの着心地はいかが?快新編
パレードは順調に進んだ。
俺たちはダンスのフリを覚える時間がなかったから、
何メートルかおきに止まって行うダンスの間もひたすら手を振り続けた。
快斗はこういうことが得意だから、2回目あたりから片手だけ踊ってる。
「別に手離してもいいぜ?」
「いいのv」
俺の右手は快斗の左手と繋がれたまま、
踊りにくいんじゃないかと思うのだが、快斗は離そうとしなかった。
「ねぇ新一、鼻ちゅーしよ。」
「はなちゅう? 何だそれ。」
「鼻ちゅーだよ、ほら世界一有名なネズミさんがやってるやつ!!」
「あぁ…」
「あれやろv」
「マジかよ。」
「だって恋人じゃん。」
「・・・・」
「俺たち。」
快斗は俺の方へ振り返り、『俺たち』と言った。
確かに恋人だけど…この状況であえて『俺たち』と言われたことが少し恥ずかしかった。
俺が恥ずかしがってることを気づいてるのかいないのか、
快斗は俺の両手を握って準備万端状態だ。
「いくぞv」
「・・・・・・まっ待て!!!」
快斗ならぬ、うさぎの鼻が迫ってきたのだが、思わず止めてしまった。
「嫌なの?」
「…俺からする。」
「まじ!?分かったv」
俺は今、一応王子様で、
快斗はお姫様なんだから…俺からがいいんだろうと思った。
快斗は少しおしりを突き出して、
顔を前にちょんと出し、キスのおねだりポーズ完了。
そのポーズに言ったはいいが、ちょっと戸惑ってしまう。
そして気になることが1つ…快斗は目をつむっているのだろうか…
つむっていないとしたら…恥ずかしい。
ここはハグとかで…
と考えていると、お客さんのまさかのちゅーコール。
やるしかない状況になってしまったのは理解したが、どうしろってんだ!!
意を決してもう一度快斗に向き合うが、
少し時間がたってくると尚更恥ずかしくなってくる。
あーくそっ
俺は目をつむっていざ快斗うさぎの鼻へ!!!!
作品名:着ぐるみの着心地はいかが?快新編 作家名:おこた