虹の作り方
「顔がっ・・・俺様の顔がっ!?・・・・ヒリヒリするっ!男前が台無しっっ!!」
「元々崩れてるんだから、大して変わらないからいいだろうが」
ぼへぇとシュラが興味なさそうに、顔面血だらけ擦り傷だらけのデスマスクを一度見ると、厭そうに目を反らした。
「うるさいっ!シュラ!それに・・・アフロ、なんで腹黒羊を止めなかった!裏切り者めっ・・・ッテテテ〜」
「エーだってさ、シャカはまともに運んでたし。問題ないだろ」
「大アリだっ!」
「そこ、うるさいですよ〜」
元凶のムウが遠く離れた位置で叫ぶ。年少組みはワイワイと楽しげにシャカを取り囲みながら語る姿に、思わず黙れと言いたいところだったが、あんまり楽しそうにしているものだから、デスマスクは「悪ぃ〜な」とだけ言うと、その様子を眺め見た。
シャカも当初はかなり驚き、困惑の表情を浮かべていたが、仲間たちの心底からの歓迎を受け入れている。
「いい表情をするようになったな・・・」
そっと背後からかけられた声に振り向くとサガが立っていた。
「よお・・・あんたも来たのか」
「ああ、祝いの言葉を伝えたらすぐに戻るが」
「ゆっくりしていけばいいのに。貴方も久しぶりに顔を合わすんでしょう?」
アフロディーテがそう言うと、サガはゆるゆると首を振った。
「いや、いい。あの子のあんな表情が見れただけで充分だ。デスマスクの尽力の賜物だな」
「だろ?ぜひ、それは形で示してくれ。期待してるぜ?」
照れ隠しのようにわざとらしい大笑いをするデスマスクにサガも目を細め、「そうだな」と快諾すると、シャカの元へと向かった。
「もうひとつの人生・・・か」
ぽつりと呟くシュラに「ん?」と顔を向ける。
「いや、なに・・・ちょっと思っただけだ。俺は今のこの暮らしが気に入っているから、もうひとつの道なんて考えたこともなかったけれど。もしも、別の道を歩んでいたら俺はどんな生き方をしていただろうかな・・とな」
「そうだな〜・・・どっちもどっちだろ?あいつはあいつなりに悩んで、導きだした結果なんだろうし。あいつだからこそ、今ああやって輝いてるかもしれない。人それぞれ、人生色々。俺たちだって、この先だってどうなるかわからないし。選んだ道を後悔することはあるだろうけど、その時その時を懸命に過ごせばいいんじゃないか?」
「シャカは後悔なんて無縁そうだね」
デスマスクの言葉を受けて今度はアフロディーテが呟いた。