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虹の作り方

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「そんなことはないだろ?あいつだって人間だから、後悔もするさ。でも、ちゃんと道を見つけて歩いていくだろうな」
「ふ〜〜ん・・・」
 頷きながら、じっとアフロディーテはデスマスクを見る。
「何だよ・・・?」
「いや、何でもない。あ、ムウが立った。本日のメインイベントが始まるみたいだよ」
 すっと話を逸らしたアフロディーテを怪訝に思いながらもシャカを取り囲む年少組みに目を向けた。
「えーっと、それでは皆様。今日はシャカの誕生日ということで盛大にお祝いをしたいと思うのですが、その前に・・・シャカ、あなたにぜひともお会い頂きたい方がいるのです」
「私に・・・?誰かね?」
「とても貴方を愛していらっしゃる方です・・・・貴方に会いたいと切々と訴えるのですよ。あんな素敵な方の頼みを無碍に断り、泣かせてしまっては男じゃありませんよね、アイオリア?」
「まぁな」
「なので、今日あなたにはこちらにお越し願ったのです。色々不手際があったようですけれど」
 ちらりとデスマスクを盗み見たムウである。
「誰のせいだ、誰の!」
 すかさずデスマスクもチャチャを入れるが、ムウはさらっと無視して続けた。
「色々、複雑なご気分になるかもしれませんが、我らには他意はなく、ただ純粋に“彼女”の願いを叶えたかったことと貴方の誕生を祝いたいだけなのだということをご理解下さいますか?」
 意味深なムウの言葉にほんの少しシャカは考えたが、「・・・ああ。」と短く答えた。すると、ムウはにっこりと笑み小さく「ありがとうございます」とシャカに囁いた。
「では。まずはシャカに乾杯!」
「乾杯―――!誕生日おめでとう!!」
 待ってましたとばかりに酒を煽る元同僚たちを呆れたようにシャカは見ながらも、目を細め、「ありがとう。みんな」とグラスに注がれた酒を一口含み、礼を述べる。
「さて、シャカ。それではご対面いただきましょうか・・・彼女はあちらで貴方をお待ちです。どうぞお好きなだけ語り合ってください。我らはここで勝手に飲んだ暮れてますから」
「飲んだ暮れ・・・かね。まぁ良いが」
 ムウが指し示した場所はカーテンで仕切られていた。
 シャカはグラスを手にしたまま、そこへ向かう。
 そっとカーテンを掴み、意を決してその中に足を踏み入れた。


「ああ―――やはり、君か」

 シャカはその姿を認め柔らかな笑みを浮かべた。

 黄金色に輝く祈る乙女。

 そっと、その面を指先で触れ、愛撫するとまるで喜びに震えるかのようにより一層の輝きを増した。



作品名:虹の作り方 作家名:千珠