二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

虹の作り方

INDEX|20ページ/23ページ|

次のページ前のページ
 


「―――どうかね?」
「何だか・・・俺じゃないみたいだな」
 鏡越しにシャカと視線が合う。シャカは何も云わず、ただ目を細め穏やかに笑ってみせた。
「ああ・・・そうか。そういうことか」
 シャカの意図することに気付き、思わず呟くと、シャカも頷く。
「おまえもデスマスクにこれをやられたのか?」
「この程度では済まなかったがな。私は固定概念に捉われている節があったから。私は袈裟と聖衣以外、身につけたことはなかったし。ほんの少し、冒険してみるのも悪くはないものだ。意外な発見もできたからな。・・・シュラ、私は聖域を去ったけれども、こうやって君とも繋がっている。捨てたわけではない。私自身が、まったく別のものになったわけでもない。ただ、ほんの少し・・・自分を“自由”にしてみせた、それだけだ。君も・・・君自身をほんの少し、許してやりたまえ・・・」
 そう云って鏡から姿を消したシャカ。トンと背中に頭らしいものを感じた。
「―――なぜ、おまえが泣くんだ・・・」
「哀しい君のために」
「シャ・・・・」
「だああああ〜〜〜〜〜〜〜シュラっ!?テメッ、シャカに何しやがった!?」
「ですますく!???」
 思わず平仮名で、飛び出てきた『デバガメ』ならぬ『デバガニ』に向かってシュラは素っ頓狂な叫びを上げた。と、同時にデスマスクの猛烈な飛び蹴りを、かろうじて避ける。

「「・・・・あ。」」

 シャカとシュラが声を揃えたとき、見事にデスマスクは鏡へと突撃し、結構な値段のしそうな鏡を木っ端微塵と破壊し、当の本人はその中で目を回していた。
「何しに来たのか・・・あいかわらず行動の予測がつかぬ男だな?」
「確かに」
 そう言いつつも、シュラにはなんとなくわかっていた。
 いつも何でもない風に云いながら、その実ほんとうのところはシャカのことが可愛くて、心配で堪らないのだろうと。
「こいつは救い難いほどの不器用人間だな。そう思わないか、シャカ?」
「救い難いバカだろう・・・たぶん」
 綺麗な笑みを浮かべたシャカにほんの少し見惚れつつ、シュラは今日ここに来たのは正解だったと思うと同時に、救い難いほどの不器用なデスマスクに蚤の大きさほどの感謝の念を抱いた。


Fin.

作品名:虹の作り方 作家名:千珠