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虹の作り方

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◇◇ガキの頃はおまけ好きだった◇◇



 今、目に映るものがこの世のすべてだというのなら、まったくもってなんの価値も見出せぬ世界ではないだろうか―――と、至極真面目にそんなことを考えてしまうような惨状を前にして、俺は深い溜め息を吐いた。
 つい先刻、巨蟹宮付近で凄まじい爆発が起こった。敵襲かと慌ててシュラは馳せてみたのだが、冷静に観察してみるとそうではないのだということはすぐにわかった。
 中央に視線を動かせば、所々穴となっている石床の上で「大の字」になって伸びているのはこの宮の主、デスマスク。
 そしてさらに視線を奥に―――デスマスクからは少し離れた位置に、猫が毛を逆立てるごとく全身に「怒ってるぞ」小宇宙を全開にしているちび助がいた。
「なるほど」
 それで俺は大体の状況を理解したのだった。
 恐らくこの惨状を作った元々の原因であろうデスマスクの前に俺はしゃがみ込んだ。顔を覗き込むと奴はバツ悪げに愛想笑いを浮かべていたが。
「・・・なぁ、デスマスク。一度、聞いてみたかったんだが。おまえは余程の馬鹿なのか?それともマゾなのか?一体、どっちなんだ?」
 俺を見上げるデスマスクは少しばかり考えるフリをする。
「う〜〜ん。マゾも捨て難いが。・・・強いて言えば、俺様は馬鹿?」
 悪びれた様子もなく、ヌケヌケと言い放ちながらも、口の中でも切れているのだろう。滲み出た血を拭いながら腫れた顔を歪めて見せた。起き上がろうとするところに手を差し伸べると、遠慮なくデスマスクは俺の手を握った。「よいしょ」と反動をつけると立ち上がり、尻周りについた埃をパンパンと払う。
「ーーーそれで?今回は何をやらかしたんだよ」
 言いながら、俺はくいっと顎をしゃくりあげ、周囲へと注意を促した。惨憺たる状況―――風通しがいいにもほどがある巨蟹宮を見渡し、この状況を作ったもう一人の原因、シャカを睨みつけた。
「ん〜と、ちょっとしたコミュニケーション不足??」
 デスマスクはさらににへらと締まりなく笑って見せながら、ポリポリと頭を掻いた。

作品名:虹の作り方 作家名:千珠