虹の作り方
「アイツ?・・・ああ、シャカのことですか?」
「そうだ」
「・・・意外だったというよりはむしろありえることかな、と思っていますけど」
「なぜ?」
「彼には彼の信仰がありましたからね。むしろ、今までよく聖闘士として務めていたと思いますよ。やっと自由になれたのでしょうから・・・彼を引き戻そうなんて考えたりしないで下さいよ」
見透かされてるなと思いつつ苦笑しながら返事をする。
「・・・でもそれって寂しくねぇ?」
「は?何故寂しいなんて思うのですか?変なこという人ですねぇ。子供じゃあるまいし、彼は彼の意思でここを去ったのですから」
「ほんとドライだな、おまえ」
「馬鹿なことを言ってないで、暇だというのなら私の手伝いでもしてくれませんか?」
「お断りだ」
「でしょうね。手伝うといわれてもこっちも困りましたけど」
相変わらず嫌なやつだなと思いながら、デスマスクは階段を降りていく。
「―――行ってもきっと無駄ですよ?」
その背中にムウは言葉をかける。
ヒラヒラと掌を振って構わず降りていくデスマスクを見送った。
「・・・あの人のあんな顔を見たら、きっと貴方も戻って来いなんて・・・・言えませんよ」
視線を落とし、悲しく微笑むとムウは荷物を持ち直し、白羊宮の中へと姿を消した。