虹の作り方
さわと生暖かい風が開け放たれた窓から忍び込む。麻のカーテンが波打ち、遠くで鳥の啼く声が聞こえた。
傲慢でいつも人を馬鹿にして。
そしてやっぱり人一倍強かったおまえ。
潔すぎる生き様を見せ付けてたんじゃねぇかよ・・・。
なのに。
これは・・・反則だ。
そんな風に悲しく笑うなよ。
そんな風に・・・泣くなよ。
手を伸ばしちまうだろうが・・・。
「一人で・・・抱え込むんじゃねぇよ・・馬鹿野郎が。物分りのいいガキはこれだから性質が悪い」
ぐいと腕を引っ張りシャカを抱え込み頭を軽く叩く。
「わからないなら、わからないでいいだろうが。足掻いて、足掻いて、足掻きまくれ!それが人間ってもんだろ?生きてることが罪だなんて思うなよ。おまえは人生の醍醐味なんてちっともわかっちゃいないんだからよ。俺なんて聖闘士だろうがなんだろうが関係なく、この世の春を謳歌してるぜ?悔しくねぇか?」
黙って耳を傾けているシャカに人の悪い笑みを浮かべる。
「・・・わからねぇって面だな。よし。俺様が直々に大人の男の遊び方ってぇのを教えてやる!」
もう聖闘士に戻れなんて野暮なことは言わねぇ。
でも、一人前の男にしてやるぐらいは俺にも出来るだろう。
神様に近い男を人間に近くなれるように手助けしてやるなんて、そうそうないだろうしな。
こんな愉快なことはない。
きっと、たぶん。
聖域の奴らがびっくりするぐらい、おまえをもっと人間臭くしてやろうじゃねぇか、こんちくしょう!
何となくそれは虹を作るような気持ちにも似て。
ほんの少し楽しいかもしれないと思うデスマスクであった。
Fin.