虹の作り方
虹の作り方 2
目の前の物体を眺めて彼此一時間は経過した。
が、やはりこの奇妙なものがいったい何なのかわからねぇ・・・。
ブツクサと独りごちながら、どうしたものかと考え込んでいたデスマスクのもとに、陽気な小宇宙が近づいてきた。
「やほぅ♪デスマスク、誕生日おめでとう・・・・って何?これ??」
いつものように大量の薔薇を抱えて現われたアフロディーテに「はい、これ」と手渡されて、少し迷惑そうな顔を浮かべながら受け取った。
花なんぞ、渡すもんであって貰うものではない、というポリシーの持ち主であるデスマスクはこの真っ赤な薔薇の大群を誰に渡そうかと考えながらも、アフロディーテの質問に答えた。
「わっかんね〜から、頭抱えてんだよ。おまえらもわからねぇか?」
「まるで芸術的アリ塚か季節外れのクリスマスツリーといった感じだな・・・・」
ぼそりと呟いたシュラにデスマスクとアフロディーテも同意する。
「こんなもん、宮の通り道にあったら邪魔だから、さっさと片付けちゃえばいいのにさ」
「それが、そうもいかねぇから、頭抱えてんだよ」
どっこいしょと、デスマスクの両隣に腰を下ろして、二人とも巨大なオブジェを見上げる。
「なんで片付けられないんだ?」
シュラの至極当然な質問にアフロディーテもうんうんと頷きながら、持参したおつまみやら酒を広げる。誕生日とかこつけて、要は飲み明かすつもりなんだろうと思いながら、勧められるままに酒を煽る。
「〜〜〜く〜〜っ!いい味してんな、これ?」
「あ、まだ乾杯してないのに。これだから飲兵衛はヤダヤダ」
アフロディーテはそう言いつつも、クイっと一呑みする。
「サガがおまえにってくれたんだ。“誕生日おめでとう。直接渡せなくてすまない”ってさ。しかし、さすがいいのを知っているよ」
へぇ・・・サガがねぇ・・・と呟きながら、アフロディーテに催促し、もう一口飲み干す。
「相変わらず、そういうところだけは几帳面だな。また黒くなんじゃねぇか?」
「素直に嬉しいって喜べば?」
にやにやと人の悪い笑みを浮かべながら、アフロディーテに小突かれる。
「う・・うるせぇよっ!」
バツ悪げに言っていると新たなメンバーが声をかけてきた。