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虹の作り方

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「おや、もう始めてらっしゃるんですね」
「なんだ?これ??」
「随分とデカイ、ケーキだなぁ」
 ムウとアルデバランにアイオリアが輪に加わる。
「ケーキ?これ、ケーキなのか?」
「え・・違うのか?・・・・あ、ほんとうだ。てっきり食い物かと思ったわ。がはは」
 すると遅れてきたミロとカミュもブンブン手を振りながら、通り道のど真んで繰り広げられている宴会に加わる。
「あ〜〜!もう、はじめてやがる!!おまえがグダグダしてっから・・・・っ、何これ?」
 やはり同じような質問をしてぐるりと一周したミロは一緒に来たカミュと共にストンと腰を下ろした。
「さぁな。俺も聞きたいぜ」
「へ〜もしかして宇宙人からのプレゼントとか?」
 ワクワクといった感じで、陽気に語るミロに驚きながらデスマスクは笑って答えた。
「はははは。結構それに近い人物だな」
「って、アンタこれもしかして、これシャカから??」
 がばっと首根っこを引っ掴むアフロディーテにそうそうと頷いて返す。
「だから、どうしようかと困ってんだよ。迂闊に送り返せばあの世行きだからなぁ・・・。誰かいらんか?」
「そんな畏れ多いもの、誰もいりませんよ。でも、まあ元気になさっているんですね、彼は」
「おうよ。色々大人の常識・嗜みっつーのを教えてやってるんだが・・・・如何せんこんな感じだ・・・あ〜あ・・・」
「頑張れ、デスマスク先生。20歳過ぎてからの矯正は結構難しいからな。しかも人外だし」
ポンポンと肩を叩き慰めるシュラに「嬉しくねぇ〜・・・」とデスマスクはぼやいた。
「ふーん。で、どんなことをアイツに教えてやってるんですか?先生?」
 にやにやと笑いながらアイオリアは面白半分に尋ねる。
「・・・・・どんなってよぉ〜、女の口説き方だろ?デートの仕方だろ。なかなかこれが上手くいかねぇんだよな〜・・・あ、でも・・・」
「ロクなことを教えちゃいないようだな」
 ボソリと呟くカミュに全員が同意する。
「あ゛〜?悪いかよ?男と生まれたからには女落とすのは人生最大の喜びだろうが?」
「ほんとロクでもないよ、アンタって。ま、結局上手くいかないんじゃ、意味ないじゃん」
 さらりといってのけるアフロディーテにカチンときたのか猛抗議するデスマスクである。
「違うわっ!あいつのあの容姿が悪いんだよ!女引っ掛ける前に、男ばっかり寄って来やがって!うっかり一人にでもしようもんなら、どれだけ男が釣れるかわかったもんじゃねぇ・・・」
「で、結局、あなたがずっと御守りをする・・・というハメになってるんですね?」
「そうでぃ・・・。女連れてっても、あいつの前だと綺麗過ぎてどうこうとかいって、ビビりやがるし。挙句の果てにはいつの間にやら人生相談に変わってるし・・・・」
 がっくしと頭を垂れるデスマスクにまぁ飲めとシュラが酒を勧めた。
「クールビューティーに挑める女なんて、そうそういるもんじゃないし。アンタの紹介する女じゃ、たかだかしれてそうだしね」
「アフロ、そんなことねえぞ?こいつ結構上玉キープしてるぜ?」
「そうだな、結構いい女だったなぁ・・・」
「ミロやシュラは知ってるんですか?」
 まぁな、と意味ありげに笑う二人にムウはきょとんとした表情をしつつ、沈没しているデスマスクに声をかけた。
「ま、いいじゃないですか。のんびりとやっていけば」
「そうも言ってられねぇんだよなぁ・・・・。あいつ知識欲旺盛じゃねえか。んでこの前もいきなり・・・・っと。やばい、やばい」
「何〜?途中で話止めるなんて卑怯!言いなさい、全部!!」
 必要以上に迫力満点で迫るアフロディーテに引き攣り、うろたえながらデスマスクはじりじりと後退したが、がしりとシュラに羽交い絞めにされる。
「ダ〜〜っ!!うるせっ!男の沽券に関わるっ!!」
「なにシラ切るつもり?ちょっと、みんな、こいつシメるよ?」
「アイサー!」
「てめぇら、こんな時だけ、連携良すぎっ!!うわっ、やめろぉ〜〜!!」
 わらわらと黄金包囲網が縮まった時、奇妙な感覚がデスマスクを覆った。

作品名:虹の作り方 作家名:千珠