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Open the door

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1章 とりあえず外出してみよう



―――そういうやりとりがあったのは、つい一ヶ月前のことだ。

ふたりの破局は週間魔女マガジンにスクープされて、面白おかしく書かれてしまい、ハリーがフラれて、捨てられたことを知らないものは魔法界にいないほど、噂は広がってしまっていた。

ゴシップに追い掛け回されるのを嫌い極力外出は避けて、オフィスと自宅の往復のみに費やし、週末はキッチンでビールを片手に気ままに食事を作りストイックに暮らしてみるのは、独り身の気安さもあり、なかなか居心地がいいものだ。
ロンからは遊びの連絡は入ってこない。
自分の身内のしでかしたことなので、なんだか気が引けるのだろう。
いつもならこういうことがあったら、気晴らしに食事やパブに誘ってくるはずなのに、今回は声が掛からなかった。

そうして自宅にいる時間が増えると、自然と気になるのはその部屋の居心地のよさだ。
グリフィンドールの赤が気に入っているハリーの部屋の壁はもちろん、シックなその色に統一されている。
くどくならないように天上はすっきりとした白で、床は明るめの薄茶の床板だ。暖炉に近い部分に大きめのどっしりとしたアンティークのキャビネットが置かれて、落ち着いた深みのある雰囲気をかもし出している。
床に順番に積み重ねられた年代物の見栄えがいいトランクはちょっとしたキャビネットの役割をはたしていた。

気に入ったものに囲まれ居心地がいい部屋のただとひとつの難点は、ソファーセットが大きすぎることだ。
何といったらいいのか―――、大げさなソファーに押されて逆に部屋がとても狭く窮屈に感じてしまうことを、いつも残念に思っていた。
午後の予定がなかったハリーは少し思案し頷くと、ジャケットを掴みそのまま姿現しでロンドンに向ったのだった。

作品名:Open the door 作家名:sabure