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【Secretシリーズ 7 】 Sunshine ↓

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(仕方がないな…。何か飲もうか)
と立ち上がり、サイドボードの中のめぼしい瓶を選んでいると、ドアが開いた。
「あら、ハリーじゃない。帰ってきたの?」
ナイトガウンを羽織ったまま、少し難しい顔をしていたハーマイオニーは、かがんでいるハリーの姿を見て、表情を崩して親しげに笑いかけてきた。

「どう、ベルファスト地方の状況は?」
「なかなかややこしいかな。敵もなかなか尻尾を出さないし、やることが狡猾だからね。でもなんとか足がかりを見つけたよ」
「ありがとう、ハリー。あなたの行動力にはいつも感謝しているわ。ここに帰ってきたのも久しぶりよね?」
「うん、二週間ぶりかな。ついさっき、1時間くらい前に帰ってきたんだ」
「……それでこの部屋にいるってことは、またドラコと喧嘩したの?」
ハリーは小さく苦笑しながら、うなずく。

「夜中に帰ってきた早々ご機嫌を損ねて、もう部屋から追い出されたよ。僕たちの喧嘩の内容も聞く、ハーマイオニー?」
クスクス笑いながら彼女は首を振った。
「いいわよ、別に。犬も食わないような、些細なことだもの。それよりも、どうしょうかしら……」
ハーマイオニーは再び思案した顔に戻る。

「なにかあったの?」
「……ええ、ちょっと情報が入って、デスイーターに狙われている人たちがいるの。もう潜伏場所がばれるのも時間の問題だから、一刻も早く助けに行かないといけないだけど――。誰が適任だと思う、ハリー?」
「僕が適任じゃないか、ハーマイオニー。時間もほとんどないんだろ?もちろん、今からすぐに、そこへ行くよ」
気軽にハリーは答えた。

「何言っているの。さっき帰ってきたばかりのあなたを行かせることなんて出来ないわ。疲れ切って、クタクタなくせに」
「そんなの全然平気だから。それにほかの仲間を今から起こしてたら、もう時間切れかもしれないじゃないか。僕なら服は着ているし、いつだって準備万態だよ」
ハーマイオニーは反対するけれど、もうハリーは入り口に立てかけてある箒を一本手に取っている。
「場所はどこなの?早く教えて」
ハリーはもう戸口へと向かって歩き出していた。

「――でも……」
「ハーマイオニー、早く!」
ハリーにしてはきつい口調で問いただした。
確かに実戦を数多くくぐり抜けてきたハリーが今回の場合、一番の適任者だとは思うが、長期間の偵察から帰ってきたばかりで、彼が疲れていることは分かりきっている。

「やはりダメよ。教えられないわ」
ハーマイオニーが首を振ると、ハリーは怒った顔で手に持っていたほうきの柄で、ダンと床を叩いた。
「分かっているのかい、ハーマイオニー?!もう時間がないほど切羽詰っているんだろ?こうして僕たちが言い合っているあいだにも敵は近づいてきているんだよ。狙われている人たちが、女の人や子どもでも、相手は容赦ないよ。取り返しが付かなくなる前に、―――さぁ言ってくれ!!」
ハリーの緑の瞳は真剣だった。
デスイーターを相手に一瞬の迷いが命取りになることは、ハリー自身がよく知っていたからなおさらだ。

「……でも――」
それでも迷っている彼女に、ハリーは言い募る。
「僕は平気だと言っているだろ!こんなのはまだましなほうだ。もっとひどい状況なんか、いくらでもあったよ。死にそうなことは何度でもあった!それでも僕は帰ってきたんだ。今度だって僕がちゃんとやり遂げるから、だから教えてくれ、ハーマイオニー!」

ハリーの苛立ちよりもむしろ焦っている姿を見て、ハーマイオニーは涙がにじんできた。
それを隠すようにうつむき、震える声で答える。
「―――ウィンダミア湖の近くのニア・ソーリー村よ」
「分かった、ありがとう。そんな心配な顔をしないでよ、ハーマイオニー」
ハリーはハーマイオニーに顔を寄せた。

「ちゃんとやり遂げるから。いつだって僕はそうしてきただろ?だから安心してよ」
緑の瞳を緩めて、彼女のほほにやさしく別れのキスをすると、ハリーはすぐさま身を翻し、まだ真っ暗な戸外へと出て行った。
バタンと扉が閉じられる。

その後ろ姿を見送り、ハーマイオニーは嗚咽を漏らし、その場に座り込んだ。
気丈なハーマイオニーのほほを涙が伝っていく。
ハリーの疲れきった顔のまま、それを苦にするでもなく、迷いなく敵へと向かって旅立っていく後姿を見て、涙がどうしても止まらなかった。

光を落としたダウンライトの中、ハーマイオニーはいつまでも泣き続けていたのだった。