二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

Hero-ヒーロー-

INDEX|12ページ/13ページ|

次のページ前のページ
 

(新聞とかテレビニュースにも派手な話題になったのに、知らなかったのか?世俗に疎くなったと言っても、そこまでとは──)
半場呆れながら、瞼を見開いている相手を見返す。

「魔法界の歴史という、最初の起源から今までの軌跡を展示したパノラマ館だよ。魔法の始まりとか、昔の魔法薬の調合とか、忌まわしいマグルの魔女狩りとか、年代を追って並んでいるよ。もちろんこの館の一番の見所は闇の帝王との戦いで、かなり大きな立体ホログラムで、しかも長時間動くようにしているんだ。かなり見ごたえがあって、僕も若くていい画像を使って、かっこよく撮ってくれたと喜んでいるんだ。ハーマイオニーに言わせれば、出来すぎだってからかわれたけどね。魔法戦の最後の戦いで、ヴォルデモートが倒れるシーンじゃあ、小さな子どもが泣き出すくらいの迫力で、この前もさぁ―――」
延々と自慢げにその話ばかりを語ってくる相手を遮り、「それで、貴様のスーツはどうしたんだ?」口を挟んだ。
(いいところだったのに)とチェッと舌打ちしつつ、しぶしぶ話を先へと進めていく。

「それからはマルフォイたちの闇の魔法の残党との戦いのジオラマに移っていくんだ。現在に近いから昔ほど詳しくは書かれてなくてあっさりしたものだけど、その残党との戦いのコーナーにヒーローのとき着たスーツは飾られているんだ」
「ほー……、なるほど」
ひとしきり相手は頷いて納得したようだ。

「10年たっているけどね、いろいろ今でも手を加えていて最新の機械や新しい展示物も追加しているから、ずっと魔法学校の遠足のコースに組み込まれているよ。もう2年もしたら、隣に水族館もオープンするって話も聞いたよ。まるでアミューズメントパークみたいだって、僕は思うけど、魔法省はやる気マンマンみたいだね。いやー、全く近頃の若造の考えることは、さっぱり分からない……」
ふぅー、やれやれとばかりに、肩をすくめ首を振る。

「子どもが喜ぶし、相乗効果で人が集まって、それはそれで別にいいんじゃないか」などと、珍しくドラコが同意する。
ハリーは下から見上げるように、相手の視線を捕らえた。
「もしかして……、結構ドラコって、じーさんのくせに、流行ものが好きなの?ミーハー?」
「なっ―――!誰がだ!失敬だ、まったく」
一瞬言葉を詰まらせ、その次に加齢でブルブルと震える手で拳骨をつくり、相手の頭をポカリと叩いた。
「いたっ!」
声を上げる相手をジロリと見下すと、「早くしろ」とせっついてくる。

「さっさと箒を仕上げて、帰れっ!」
「あー、はいはい、分かりましたよ。仕上げたら帰るよ」
フンと鼻息も荒く、柄の部分をゴシゴシとセーム皮で磨き始める。
目は悪いけれど、箒の手入れには自信があった。
年をとった今でも、きっとそこいらの職人よりずっと上手に手入れできることは、変わらないはずだ。

老人になった今でも英雄とか言われ、いろんな人たちから信頼を得ている自分が、こんなに高飛車に命令されて、さっさと帰れとまで言われて、気分のいいものではなかった。
自分から言い出したとしてもだ。
(特別扱いをして欲しい訳じゃない。ただ、もうちょっと言い方ってものがあるだろ。お互いいい年なんだし……)と、心の中で毒づいた。

ワックスを取ってはそれを塗りつけながら、ヤケになったように拭き取り用の布を前後に動かした。
こげ茶色の持ち手部分が段々と艶やかな輝きに満ちてくる。
柔らかな皮に持ち替えて、入念にそれを塗りこんでいくと、最初の頃の美しさに戻っていくようだ。
ハリーはそれをうっとりと見詰めた。
好きな物を手入れすることは、いくつ年齢を重ねても心が躍るような気持ちになる。
さっきまでプリプリと怒っていたのに、自分でも気付かないうちに楽しそうに鼻歌を歌っている相手を、少し呆れたような顔のまま、「信じられない」と首を振りながらドラコは見詰めたのだった。


作品名:Hero-ヒーロー- 作家名:sabure