Who?
翌日、ロイが目を覚ますと屋敷の様子がどうもおかしいことに気付いた。
身だしなみを整え、静まりきった屋敷を歩きレイルの部屋に向かう。
そしてノックすると、中からいつも通りレイルの返事がしたことに少しホッとした。
「失礼致します。」
「おはよロイ。」
「お着替え手伝います。」
「うん。」
レイルは右腕と左足が思うように動かせなかった。
それに体にもいくつもの傷跡が残ってる。おそらく一生消えない。
どうしてこんな傷を負ったのか聞いたこともあったが、
レイルは覚えていないとしか言わなかった。
「では、下へ行きましょう。」
レイルを車椅子に乗せ、リビングに向かう。
相変わらず屋敷内が静かだった。
少し警戒しつつ、リビングに着くといつもとは違う光景が広がっていた。
いつもはリビングの扉を開けると、香ばしいパンの香り、
テーブルにはスープやサラダなどが綺麗に並べられ、
その横にはシェフとメイドが整列しているのだが。
今朝は扉を開けても何の香りもせず、テーブルはまっさら、シェフもメイドも居ないのだ。
「これは…?」
「ロイ、朝飯は何にする?」
「…レイル様?」
「あははっ驚いた?」
「一体どうなって…」
「全員解雇した。」
「なっ!!?」
「大丈夫、ちゃんと相応の金は払った。」
「どうしてそのような…」
「ロイ以外、いらないから。」
「レイ…
「朝飯、二人で作ろうぜ。」
何を考えているのかロイには理解出来なかったが、
楽しそうにしているレイルに何も言うことが出来なかった。