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【ヘタリア】 【悪友トリオ】 「すずらんの花を君に」

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「おい!!そのまま、吐くのがまんしてられっか?!」
「う・・・・・なんとか・・でもだめ・・・・・・。」
「よし!そのまま、がまんだけしとけ!すぐに病院つれてってやる!」
「病院? 別にええよ。吐いたらすぐに良くなると思・・」
「だからよ、フランシスのいる病院に入院させてやるからよ!」
「フランのか!!うぷ・・・・!!ダメや・・・・我慢できへん・・・!!」
「そこをがまんしろ!!その真っ青な顔が必要なんだよ!」
「無理や・・・・あかんわ・・・・ぎゃあ!ギルちゃん!なにすんねん?!」
「いや、気絶しとけば、吐かねえし、ちょうどいいかなって思ってよ。」
「ぎゃあ!!そんなんで殴らんといて!!も、もう吐かん!吐かんからーーーー!!」

パリ北駅の構内に、救急車の音が鳴り響いた。



「・・・で、結局、俺、何の病気にさせられてんねん?」
「さあ・・・・・?なんだろうな。」
「って、もう吐いたからすっきりしてんやけど。」
「いまさら遅い!じっくり検査してもらえよ。お前、スペインから来て、具合悪くなったっていってるから、隔離だろ。隔離!!どうせ、検査までに時間かかるだろうから、その間に、フランシスの病室に忍び込んでこようぜ。」
「えっ?検査とかなんね?俺、もうどこも悪くのうなったんやけど・・。」
「まあ、もう入り込めたからいいだろ。お前、せっかく検査用のパジャマ着せてもらったんだから、病院の中、自由に歩けるだろ?フランシスの病室まで行こうぜ。どうやって抜け出すか、先に見とこうぜ。」
「別に下見とか、いらんやろうに・・・・。トイレ行くふりして抜け出すとか・・・。」
「んなの、普通すぎて、面白くねーだろ!」

二人は検査室を抜け出すと、フランシスがいるはずの病室へと向かう。

途中、ナースたちのいる詰所は、アントーニョが迷ったふりをしてなんとかごまかした。
その間にギルベルトが匍匐前進して、ナース室をかいくぐる。

そして、ギルベルトが病室へ行くと・・・・・。

「明日にスト?いや、明後日はミュゲの日だから、ストはありえない。いや・・・わかった。すぐに行く。」

背の低い、おなじみのフランシスの上司だ。

(なんだよ・・・フランシスの奴、上司に見張られてんのかよ・・・。)

「じゃあ、私は行ってくる。なんでもバス会社が無期限ストに入るらしい・・・。」
「それは・・・困りますよねえ・・・。」

病室の前にはSPとみられる人物が4人・・・。

(くそ。SPとかいんのかよ・・・ひげのくせに生意気な・・・・!こりゃ、抜け出せねえわけだ!)

しかし、隣の病室のベッドのカーテンに隠れたギルベルトの前を、フランシスの上司とSP4人は通り過ぎていった。

「・・・ふえぇぇぇぇぇ・・・・・!」

気が抜けたようなフランシスの声。

「よお!なんだよ!くそひげ!馬鹿みてえな、ため息つきやがって!」

突然、目の前にギルベルトが現れた。

「ギルちゃん!!待ってたのよ!!」

フランシスが動けたら、抱きつかれていただろう。
もう、満面の笑顔で迎えられた。

「け!!気色わりい!なんだよ!その顔はよお。」
「何言ってもいいよ!お兄さん、もう死ぬかと思った・・・!来てくれてありがとう!!」

フランシスは、涙まで流している。

「まあ、その・・・ひまだったしよ!」
「あれ?アントーニョは?来てないの?」
「あっちでナース口説いてる。ってっか、ここのナースすんげえ手ごわいな!トーニョの「必殺の笑顔全開」でも、まったく口説けねえんだぜ?本当にフランス女か?!」
「・・そうなのよ!だから抜け出せないの!!上司が来るまで監禁状態なのよ!!だから助けて!!」
「ち!ちょっと黙れ!誰か来る!」

チャキっとギルベルトが内ポケットから出した銃に、フランシスは仰天した。

「ちょ、ちょっと!ギルちゃん!!ここ、病院!!そんなのしまってよ!見つかったらえらいことじゃない!!」
「うっせー。お前を国家権力から救いだすんだろ?俺の使命は。んなら、黙ってろよ!必ずここから脱走させてやっからよ!」
「・・・お願い・・・!スパイ映画にしないで!!こっそり!こっそり抜け出したいの!!」
「わあってるよ!」
「わかってないよ!!銃しまってってばーーーーー!!」

暴れるギルベルトをベッドの下に押し込むと、にこやかにナースが入ってきた。

「フランシスさーん。今日はいかがですか?動けないのはつらいでしょうが、今が肝心ですからねー!今動くと変な風に骨がくっついちゃって大変ですからね!じっとしててくださいねー!」

ナースは検温をして、ベッドわきに積みあがった書類を整えると出て行った。

「フー、あぶねえ、あぶねえ。敵は、相当数の見張り、有り、か。」
「敵じゃないでしょ!!ナースよ!看護婦さん!!」
「あ、そうだ。おまえんちから着替えとか、靴とってくるのに、鍵がねえの忘れてたんだよ。鍵どこだよ、鍵はよ。」
「あー・・・忘れてた・・・・。ちょっとまって。」

フランシスが、ベッドから起き上がって机の引き出しを示す。
「そこの2段目に入ってるから。ねえ、ギルちゃん・・・・。」
「なんだ。」
「もし・・・鍵ないまま、お兄さんち行ってたら、どうやって鍵開けたの?」
「そりゃあ、もちろんぶち壊すに決まってんだろ!」
「・・・・ここに来てくれて、よかった!!ほんとに!」



フランシスから鍵をもらって、ついでに旅行費用もふんだくって・・・!
見張りにアントーニョを残して、俺様はフランシスの部屋へといった。

女の香水のにおいがしてやがる・・・・・・相変わらずな家だよな・・・・。
男の一人暮らしの部屋になんぞいつまでも居たくねえから、さっさと荷物をまとめる。

えーと、ディジョンには一応、2泊予定・・・。
んなら、着替えはこれでいいか。

待てよ・・・・・・もし監視がいたら・・・ごまかすのに・・こいつがいいか。
明日からバスのストって言ってたな・・・・。だから、くそひげのとこはよう・・・・・ストの前、車は渋滞・・・・。なら列車のほうがいいか・・・。上司の監視と追跡をかわすには・・・・。


ギルベルトの頭の中で、カーチェイスと銃撃戦が浮かんだ。
そんなことは起こりようがないのだが・・・・。

(よし!これで準備完了!)


ギルベルトはフランシスの部屋のドアを乱暴に閉めると、鍵を閉めた。
鍵を閉めたとたんに、廊下に郵便配達員が突っ立っていた。

「ええと・・・・ここなはずなんだけど・・・。」
「おい、フランシス・ボヌフォア宛か?その手紙は。」
「ええ。住所はそうなんですけど、宛名がボヌフォアさん方の他の人になってて・・・。」
「宛名?」
「ジルベール・ベイルシュミット・・・」
「ジルベールじゃねえ、ギルベルトだ!って俺宛?」
「貴方宛ですか!これ・・・送り主の名前も変だし・・・・。」
「ちょっと見せてくれ。おお!俺宛じゃん!ギルベルト・バイルシュミット様・・・なんで俺宛?」
「とにかくここにサインください。特別郵便が多すぎて困るんですよね。ボヌフォアさんとこは・・・。」

ギルベルトの眼は送り主の名前にくぎ付けになって、配達人のぼやきなどは耳に入らなかった・・・・・。