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【ヘタリア】 【悪友トリオ】 「すずらんの花を君に」

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「まあフランシス。病院以外の飯は久しぶりやろ?ゆっくり食おうや。」

リヨン駅のレストラン「ル・トラン・ブルー」で悪友3人は腹を満たした。

「あーうまかった!じゃ、これおめーの払いな!」
「ごっそさんやった!」
「なんかお兄さん・・・・割が合わないというか・・余計な手間賃がかかっているというか・・・・。」
「助け手が誰もいねえから俺たち呼んだんだろう?お前が払うのが当然だろうが!」
「じゃあ、そろそろTER乗るか。」
「どうしてTGVじゃだめなの・・・・。」
「特急で監視カメラにお前が移って、上司が追っかけてきてもいいならな。あっちのTERはホームにも列車にもカメラがねえのは調査済みだ。」
「さすがだ・・・と言いたいけど、わざわざそこまでしなくても・・・・今まで見つからなかったから大丈夫だと思うんだけど・・・。」
「見つかって、SPとやりあってもいいならそうするぜ。」
「はい・・・・わかりました・・・・。ねえ、ギルちゃん・・・別にもう警戒しなくていいんじゃない?ここまで見つからなかったんだし。」
「んにゃ!これから、まだ電話するとかいろいろあんだよ!明日の朝くらいまでは見つかりたくねえんだろ?そうだ、お前ら、先に行ってろよ。俺はディジョン駅で追いつくわ。」
「なんか・・・・いやな予感がするのはお兄さんの気のせい・・・?」
「んじゃ、後でな。わりとうまかったな。ここ。」
「あとでなー。」
「ちょ、ちょっと!俺歩けないのよ!!車椅子ないんだから抱えてくれないと!!」
「あ?面倒くせえな・・・・。」

ギルベルトとアントーニョで、フランシスを両脇から支えて歩く。

「おい、ひげ!なんか酔っぱらいみたいに・・そうんだな・・・・なんか歌え!」
「んなら、お兄さん自慢のシャンソンを!」
「あ、ええわ。周りに誰もおらんわ。酔っぱらいのカモフラージュいらんみたいやで。みんなそりゃTGVの方に乗るわなあ・・・ディジョンに行くなら・・・・・。」
「かかる時間は大してかわんねえよ。」
「お兄さん、シャンソン歌っていい?」
「歌ったら殴る。」
「ひどい!歌えって言ったのに!」


とりあえず、酔っぱらったビジネスマンと仲間がちょっとふざけているようなふりをして、フランシスたちはTER列車に乗り込んだ。

「俺の荷物、持っててくれ。」

ギルベルトが、少ない荷物を椅子に座ったフランシスの上に投げた。
「ぎゃっ!!痛い!!痛いよギルちゃん!!」

フランシスの悲鳴を無視してギルベルトは列車を降りていった。

「ねえ・・アントーニョ・・・。ギルちゃんが戻る必要性はなんだと思う?まったく見つかってないわけだし・・・・。俺が病院抜け出したって・・・・。」
「うーん・・・・。わからへんなあ・・・。ギルちゃんの趣味とちゃう?」
「・・・・趣味でお兄さん、レンタカー代とか払ってんの・・・・・。」
「まあ、仕方ないやろ。なんせ、あのギルちゃんに頼んでしもたんやで?高うつくのは仕方ないやん。ま、車でいって、カーチェイスに巻き込まれるんやないだけ、ましなんとちゃうか?」
「うう・・・・・・。お兄さんはあんまり納得できません・・・・・・。」
「まあ、いいやん。ギルちゃんがいつ来るかわからんけど、俺たちは列車の中で、ゆっくりしようや。」

アントーニョとフランシスは列車の個室に入ってゆっくりと足を伸ばした。

列車が走り始めると、フランシスがため息をついた。

「なんやねん。病院暮らしは気い張ってたんか?ため息ばっかやん。」
「うん・・・・・。毎日、毎日、あの上司が仕事持ってくるのよ・・・。息がつまって死にそうだったの・・・。」
「そりゃお気の毒やったなあ。まあ、お前も仕事よりバカンス命のお国柄やからなあ。」
「お前んちもね。ギルちゃんちは今、大変だからなんとか俺も助けようと思うんだけど・・・。なんせ・・ね・・・。ストばっかりはどうにもならないのよね。」
「しかし、なんでこないな時に抜け出すん?明日がなんとかの日とか言っとったな。」
「5月1日は「ミュゲの日」って言って、大事な人のすずらん(ミュゲ)を渡す日なのよ。それが明日・・・・・。でね・・・・夢を見たのよ・・・・「彼女」の。」
「彼女?」
「・・・・・アントーニョは会ったことないでしょ・・・・。「ブルゴーニュ公国」に。」
「ないねん・・・・。確か「彼女」は俺が生まれたころに、のうなったんじゃ・・。」
「ああ・・・・。俺が滅ぼしたも同然・・・・。」
「・・・そのころ・・俺んちもオーストリアと同君になってな・・・・・。」
「・・・いろいろあったよね・・・。あの頃は・・・。俺もお前もギルちゃんもさ・・・。」
「ああ。激動の15世紀・・・・・・やったな。」
「・・・あの時ね・・・・。失くしたものが多すぎて・・・考えなかったのよ・・それが今は悔やまれる・・・。」
「そういう時もあるんや。それは仕方ないん。俺もそうやで・・・・。失くしたもんが・・・多すぎた・・・・。」
「ねえ・・・・。マリー・・・・ブルゴーニュはどうして消えてしまったと思う?一応お前んちの上司とブルゴーニュのお姫さん、結婚したじゃない。」
「まだ俺のとこの上司とちゃうわ。2世代後や。オーストリアんちの上司とブルゴーニュのお姫さんの間の息子が、俺んちの女王と結婚したんや。」
「・・・・あのいわくつきの女王様か・・・。」
「・・・・・・・いろいろと言われとるけどな・・・・。ファナは優しい、けなげな子やったんやで・・・俺の大事な子やった・・・・。」
「・・・・・・そう・・・・。お前さ・・・・あの女王さん・・・好きだったの?」
「・・・・・・わからん。あの頃、俺はまだそういうことわからんかったし・・・。でもな・・。」
「でも?」
「でも・・・・大事やった!本当に・・・・ファナは俺にとっては「最初」の女王やったんや!イサベラさんはあくまでカスティーリアの女王さんやった。アラゴンもおんなじや。でもファナは「俺の女王」やった!!忘れられへん・・・・・!」
「そうだね・・・・・。忘れられない女性・・・・・っているよね・・・。」
「・・・・・お前はどうなん・・・。あんとき、眉毛野郎と100年戦争やろ?国土荒れて、大変やったんやろ。」
「うん。色々あったね・・・・・。忘れられない人も・・・あの戦争で亡くした・・・・。」
「・・・・つらいねんなあ。俺らはそゆことばっかりや!」
「・・ん・・・・でも、会えてよかった・・・のよね・・・。」
「今はな。今になって・・やっとそお思えるんや。あん時は苦しいばかりやで・・・・。」
「・・俺たちってさ、こういうことずっと繰り返してきたじゃない・・・・。でも後悔した時はもう遅くてさ・・・・。」
「でも忘れないやろ。俺たちが覚えてて、あん時の思いも忘れない。「彼女」たちへの思いもな・・・・。」
「・・・・・呼ばれるんだ・・・このところ夢でさ・・・。」
「ブルゴーニュ・・・マリー・・・・さんにか?」
「うん。「お兄様」って・・・俺を呼ぶんだ・・・!毎晩、毎晩!!ずっとディジョンの花畑の中に立ってるんだ。ごめんね・・・・どうしても行きたくてさ。でもこの怪我でしょ。手伝ってくれて感謝してるのよ。」