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【ヘタリア】 【悪友トリオ】 「すずらんの花を君に」

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「それはギルちゃんにも言ってあげな。まあ、無駄な動きやけど、一生懸命やってくれとるやん。」
「無駄な動きだけどね。抜け出すだけで大げさとは思うけど・・・。でも色々やってくれてるから・・・。」
「・・・ギルちゃんにもおるんかな・・・・。あの大王さま以外に大事な人って。」
「・・・・まあいるでしょ・・・。でもギルちゃんの場合、まだそばにいるでしょ・・。」
「ああ・・そやった・・・・。ギルちゃんの場合・・相手は「国」やった・・・。」
「一途だからね・・・・ギルちゃんも・・・。」
「子供の時からだからね・・・・。恋してる相手が「国」っていうのはどんなんだろう・・・。先に死なれることもない・・・・けど、「国」の情勢によって、思いも左右されるでしょ・・。」
「ん・・・・・。でもギルちゃんは今は亡国・・・・・。いまだに、もだもだやってるねんなあ・・・・あの二人は。」
「・・・・・・失くすよりもいいのかな・・・・・。大事な人を・・・。」
「・・それはどっちとも言えへんな・・・・。俺は「国」でも「人」でも・・・好きになったら、思い伝えて、幸せになりたいな・・・・・。」
「うん・・・・・。幸せに・・・・したいし・・・なりたいね・・・・。」
「俺らは、こうやって失くしながら生きていくんやろな・・・これからも・・・。」
「・・・・・そうだね・・・・・。」


二人は黙ってしまった。

遠い思い出の中、それは今も心にある・・・・・・。

大切な人々は、過去の中に遠ざかり、消えていく。
でも、思いだけは残って心をさいなむ。

「でもな・・・・。幸せな思いを忘れなけりゃいいねん・・・・。俺はあんとき、幸せやった・・・。「彼女たち」と会えてな。」
「うん・・・・・そうだね・・・・。」


それから二人は、それぞれの思い出の中へと静かにひたっていた。




ギルベルトはというと、すぐにレンタカーを返し、パリのある店に行った。そして、あるものを手に入れると、すぐに悪友二人を追いかけてTGVへと飛び乗った。

手紙・・・・。
フランシスの家に、「ギルベルト」宛に出された手紙・・・・・。

「くっそお!お前らの使いっ走りかよ!俺は!」

ギルベルトが吠えた。




「なんでギルちゃんのほうが早くディジョンに着いてるねん?」
「そりゃ、俺様はTGVで来たからさ。」
「俺たちはTERなのに?!」
「そのほうが目立たねえだろ?」
「なんか・・・・納得いかないのよね・・・。TGVなら一時間半で着いたのに・・・。」
「まあ、細けえことは気にすんな!ほら、車いす借りといた。とりあえず、これで移動できるだろ。」
「ありがとう!!やることはやるのよね!!ギルちゃんてば!」
「あたりめーだ!俺様に抜かりはねーぜ!」
「でもあのレンタカーとかなんだったの?カーチェイスしたわけじゃないでしょ?」
「ん、カーチェイスはなかった・・けどな・・・。」
「何?なんかあった?」
「まあ、いいぜ。さっさとホテルに行こうぜ。日付が変わらねえうちに行かねえともう待っててくれねえんだ!」

3人はホテルに入ると、それぞれの部屋へ・・・・・。
片足が動かせず、途方に暮れるフランシスにわめかれるまでは、ゆっくりとした・・・。


深夜にディジョンに着いたにもかかわらず、悪友がそろえば飲み会になるのはどうしても仕方ない。
結局朝方まで飲み明かして、ミュゲの日を迎えた。

ホテルの朝のテーブルにはすずらんが添えられていた。
ほのかな香りが、二日酔いの悪友にも届いた。

朝食をとりながら、3人はその花を見つめる。
「今日はミュゲの日なんだよね・・・。」
「ああ、お前んとこの習慣な。すずらん、贈るんやったっけ?」
「うん。君らにも贈る・・・」
「気色わりいからいらねえよ。それよりも、飯食ったら、車乗るぞ。」
「上司の追手も別に何もなかったやない。良かったなあ。」
「上司には一応、置手紙してきた。ミュゲの日なので、どうしても会いたい人がいるので、留守にします、って。」
「律儀やなあ・・・・。」
「大丈夫だろ。上司はお前どころじゃねえだろ。パリはバスのストで大混乱だ。」
「あれま。スト回避出来なかったんや。」
「ストが趣味なだからな。」
「お兄さん・・・・言われたい放題なのね・・・。」

「仕方ないやん。」「ひげだからな。」

3人はホテルを出ると車に乗り込んだ。
この車もギルベルトが手配した。
裏工作でも、実務でも、ギルベルトはそういうところは実に抜け目ないのだ。
なのに、何故彼は、弟にすべてを任せて働かないのだろう・・・・・?
アントーニョとフランシスは、奇妙に不機嫌なギルベルトを見ながら不思議に思った。


「あー、頭いってえ!!」
「飲みすぎるからよ!!ここのワインがおいしいからって・・飲みすぎ!」
「でもいいなあ・・・。このディジョンって。うまいもん、いっぱいありそうや!なあ、お前の用事終わったら、なんか名物食わしてや!」
「ああ、いいよ。ここはとにかく「美食の街」って言われてるくらい、名物料理がいっぱいあるのよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「なんや、ギルちゃん、そないに頭いたいんか?大人しなあ。」
「うるせ。お前の声が響く!ひげ!」
「えっ?怒られるの、なんでお兄さんなの?!」

ギルベルトがちょっと顔をゆがめてフランシスを見る。

「・・・・お前の上司、奥さんの不倫の写真、新聞に売っていいってさ。」
「へえ!!ほんとに?そりゃ・・・あの二人別れるのかな・・・。」
「お前が抜け出したことももう伝わってんだろうけど、平気そうだった。あいつ、えぐいけど、根性あるのな。」
「・・・・・・そうなのかな・・・・。ストは回避できたのかな?」
「それは無理だろ!」
「ほんと、大変やなあ・・・・でもなんとかフランちには、ユーロのためにも頑張ってほしいんやけど・・・。」
「それにつきましては、アントーニョさん!貴方も頑張らないといけませんわよ!お兄さんも日々、ルーイに負けず劣らず頑張っております!」
「けっ!ストばっかりやってる奴が何を言う。」
「ひどいわ!お兄さんも大変なのよ!!なんせ、ルーイと二人で、みんなを支えているようなもんだもん・・・・!」
「いっそ、お前一人で支えてみろ!!」
「だめだめだめ!!お兄さん、そしたら、きっと死んじゃう!」
「死なれたら・・・・困るなあ・・・・俺んちの経済、まだ回復せんのよね・・。」
「あー、とにかくミュゲの日に間に合った!来れてよかった!!感謝だわーー!君たち!」
「・・・・で、昨夜言ってたブルゴーニュの宮殿跡じゃなくて、本当にこっちでいいのかよ?」

レンタカーのハンドルを握るギルベルトが言った。

「うん・・・・・いいのよ・・・。このまま、ブドウ畑の横行って。そしたら、森の中に小さなすずらん畑があるのよ・・・。ちょうど丘の傾斜の石碑の反対側のところに。」
「ああ・・・・。あの小さな石碑のあるとこか。」
「知ってるの?ギルちゃん!!すずらん畑も?」
「すずらん畑のほうは知らね。でも石碑のとこなら行ったことがある。」
「へえ、ギルちゃん、こんなとこまで来たことあるんか。」
「・・・・数世紀前だけどな・・・。」