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【ヘタリア】 【悪友トリオ】 「すずらんの花を君に」

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『はじめまして。スペインさんとおしゃるのね・・・・?』
「ああ・・・そうやな・・・。はじめまして、マリー・・ブルゴーニュはん。」
『アラゴンさんとカスティーリアさんの息子・・・さん?・・・。』
「ええ。でも、貴女の家の、「麗しきマリー女公」の子供がうちの上司やったんや・・。」
『そう・・・・・・なら・・・・私と所縁がありますわね。』
「ん・・・・。あなたの・・・貴女の土地を引き継いだんは、俺もやから・・。」

眩しそうにマリーを見ているアントーニョの前に、ギルベルトが進み出た。


「久しぶりだな。ブルゴーニュ・・・・いや・・・「金羊毛騎士団」。」
『こんにちは。ドイツ騎士団さん。・・・・変わった格好をしていらっしゃるのね。』

マリーは、ドイツ騎士団の格好とはかけ離れた、Tシャツにジーンズというギルベルトの服装を見て、ほんの少しだけ困ったように首をかしげた。
マリーの時代でいうと、今のギルベルトの格好はほとんど下着なのだ・・・・・。


「ん・・・まあ、俺は今はもう、騎士団じゃねえし、「国」でもねえけどな・・・・。」
『・・でも、黒十字架はしていらっしゃるのね。』

マリーが目ざとく、ギルベルトの首にかかる黒十字架のペンダントを見つける。

「ああ・・・・・これだけは手放せねえからな・・・。お前の「金羊毛騎士団」は今もあるんだぜ。なのに、お前だけが消えちまうってなんなんだよ。あの時、騎士どもが迷ってだぜ。「象徴」のお前がいなくなってよ。」
『・・・ごめんなさい、ドイツ騎士団さん。騎士の心構えとか、叙勲の仕方とか、いろいろ教えていただいたのに・・・。でも、うちの騎士団は31人しかいなかったし・・・私が消えても、彼らは困らなかったと思って・・。』
「まあ、お前もあんときゃあ、いろいろあって大変だったんだろ?・・・でも・・・・・・。」

言い淀むギルベルトを見て、アントーニョとフランシスははっとする。
マリーはそれを見て、静かに笑った。

『でも・・・・・お前はどうして消えちまったんだ?ですか?』
「ああ・・・・。おまえんちのマリー女公は亡くなったけど、お前の領地も爵位もちゃんと残ってたんだぜ。なのに消えちまったのは、このくそひげとオーストリアの坊ちゃんがお前を取り合ったせいか?」
「・・・ちょ、ちょっとギルちゃん!!」
「いいんだ・・アントーニョ・・・。マリー・・・・。俺も聞きたい・・・・。」

ふと、哀しそうな表情でマリー=ブルゴーニュ公国は笑った。

『・・・もう・・保てなかったんです・・・。マリーが亡くなった後。私は元はただの「公国」。それが「国」と言われて、お兄様をしのぐ勢いで大きくなりました。そのこと自体が私には無理だったんです。上司たちは、無謀な戦いを繰り返して・・・・。お兄様・・・お兄様が英国さんと戦って弱っているときに、私は大きくなっていきました。でも・・・・無理に大きくなったものは、いつか崩壊します・・・。
それが「私のマリー」が亡くなった時と重なったのです・・・・。』

「俺が・・・君の領土をオーストリアと分断したから?」

『いいえ・・・私は元はお兄様の中の小さな公国です・・・。大きくなって「国」として言われるようになったのは、上司の家が変わってからでした。分断といっても、名前もッ領地も生まれた時とさほど変わらなかったですし・・。でも・・・マリーが亡くなった後は・・・私「ブルゴーニュ公国」を認めて、「私」を求めてくれる人々がどんどんいなくなってしまって・・・。』

「でも、お前んちの名も爵位も、坊ちゃんもひげも、名目とは言え、ずっと持ってたんだぜ。なんかあったのか?お前が絶望しちまうようななにか。」

「ちょ、ちょっと!ギルちゃん!もう少し穏やかに・・。」

「時間ねえんだろ?なら、さっさと言っちまえよ。俺もわかるぜ。お前が絶望して、消えたくなっちまった気持ち・・・。」

フランシスとアントーニョははっとして、ギルベルトを見つめる。
そう・・・・・ともすれば忘れてしまうが、ギルベルトは「亡国」なのだ。

『・・・・私が絶望・・・そう絶望したのは・・・・マリーの子に・・・・言われたこと・・。』

フランシスははっとなり、ギルベルトは眉をひそめた。

「マリーの子・・・・ってことは、お前んちの上司だろ。トーニョ。」

「ひょっとして、あの王子か?きれいなだけで鼻つまみもんだった、あのくそフェリペ・・・。」


『・・・・・あの子は・・・・私をいらなかった・・。マリーの子にはもう私は用済みだったんです・・・・。ハプスブルク家で、何不自由なく暮らしているあの子たちに、マリーの所領だった「私」など・・・・なんの意味もなくて・・。』

「だからって、消えるこたあ、ねえだろ?たかが、上司のガキが言ったくれえで。」

『・・・でも・・・・ブルゴーニュのことを、もうすでに「私」を覚えていてくださる方も少なくなって・・・・結局、私はいなくてもいいと思って・・・・。』

「・・・・俺も君の領土を奪い取った・・・・あのオーストリアにとられるくらいならって・・・・。」

『・・お兄様のせいではありませんわ・・・。私が弱かったんです。昔のように・・・・お兄様の中の、小さな公国でいたかったのに・・・・。』

「マリー・・・・・。俺は君にずっと謝りたかったんだ・・・・。俺はあの時、英国との戦いで何もかもなくしてた・・・・だから君のことなんて頭になかった・・・君が弱ってても、なんの手も差し伸べなかった・・・!」

『いいえ・・・フランシスお兄様・・・・。消えてしまいたいと思ったのは、私の意志。それを止めることはお兄様も出来なかったですわ・・・だから、ご自分を責めないで・・。お兄様のせいではないのです。』

「マリー・・・・・・・それでも、俺は君に残ってほしかった・・・消えないでずっと俺のうちにいてほしかった・・・・・・!!」

『ごめんなさい・・・・・でも・・・・私・・・耐えられなくて・・!!誰にも必要とされないことがこんなに悲しいと思わなかった・・・・。もう、消えてしまいたいと思って、
泣いているだけで・・・・なにもわからなくなってしまって・・・。でも迎えに来てくれた方がいましたの。』

「迎え?」
『ええ・・・・「ローマ帝国」さんとおっしゃいますの。みなさん、ご存知でしょう?』

3人は顔を見合わせた。

「ローマ帝国」。

ルートヴィッヒによると、「彼」はちょくちょく地上に降りて来ては、孫たちの姿を見にくるらしい。

「俺たちは直接会ったことはねえけどな。あ、でもちょっと前にヴェストがローマ帝国が枕元にきたって言ってたな・・・。」


『・・・・きっとローマ帝国さんはお孫さんに会いに行かれたんですわ・・・。私のところに来た時は、私を救うために、地上にいられる時間をつかってしまわれたから・・。』

「地上にいられる時間?」

『ええ・・・・。天にいる「国」が地上にいることを許される時間です。今、私が来ているのも、その「時間」を頂いたからですわ。ローマ帝国さんは、消えたのも気づかずに、泣いていた私を天国へ送っていってくださったんです・・・・。』