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がんばれ、おれのちきんはーと!

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武蔵の言葉を聞いて決心がついたのか、ワイルドキャットは自らの想いを告げることにした。
砕けるなら砕けてしまえば良いし、もし恋人になってもらえるのならば自分がヨーキィたちに頼めば良いことだと考えたからである。無論、彼女の父親代わりである長門には殺される覚悟でいるが。

一つ深呼吸をして、ワイルドキャットは武蔵の正面に立ち、想いを告げた。

「オレは……オレは、キミが好きだ。一目惚れってやつなんだと思う。初めてキミを見たときから、キミの顔が忘れられなかった。敵対してることとか、そんなこと、今はどうでも良い。
武蔵ちゃんさえ良かったら、オレと、恋人になってほしい。こんな人目を忍んで逢いに行くより、堂々とキミを愛したいんだ」

良かったら、返事、聞かせてくれないか?
そう続けるつもりだったのに、急に溢れてきた涙でつっかえて言えなかった。
あぁ、最後までカッコ悪いや、オレ。せっかく告白できたのに。
そうワイルドキャットが自己嫌悪に陥っていると、武蔵は彼の手をそっと握った。そして柔らかい声音で「泣かないでください」と数回繰り返した。
武蔵の声に彼が顔を上げると、彼女は微笑んでいた。その頬は、紅色に染まっている。
そしてワイルドキャットが考える暇も無く、武蔵はこう告げた。

「わたくしも、ワイルドキャットさんのこと好きです。最初こそ、怖いなって思っていましたけど……。でも、わたくしに面白いお話を聞かせてくださったり、先程だって一緒に花冠を作ってくださいました。とてもお優しい方だと分かる度に、貴方に惹かれていきました。
ですから、泣かないでください。大和お兄様たちにはわたくしから説明しますし、世間からは風当たりが強いでしょうけれど…それでも、わたくしは構いません」

貴方を愛していますから。
武蔵のその言葉を聞いた途端に、ワイルドキャットは彼女を抱き寄せた。
そして、小声で何度も「ありがとう」とお礼を言う彼に、武蔵の笑顔はより深くなっていく。
漸く、想いが通じ合った。国境を越えて海を越えて勇気を振り絞って、漸く繋がることが出来たのだ。
最早怖いものなど何もない。こうしてみれば、何故敵対国ということにあれほど執着したのかすら分からなくなってくる。
それでも、お互いが幸せであればそれで良い。
この時間があれば、それだけで幸せ。
二人は顔を見合わせ、どちらからともなく額を合わせて笑った。





おつかれさま、おれのちきんはーと。
(おめでとさん、アニキ)
(やれやれ、これでやっとヘタレ卒業だね)
(なあなあ、今度オレとケイとウィリスたちでダブルデートしようよ!)
(…I wish your happiness to continue through all eternity.)