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【シンジャジュ】我儘な子供

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 カツン、カツン、と踵を鳴らしてゆっくり距離を詰めていくと、ジュダルの瞳には明らかな畏怖が滲んだ。視線は目の前に翳された掌に引き付けられており、体罰を恐れて震えている子供のように怯え切っている。
「っ……めろ、来んな……!」
 吐き捨てるように拒絶を向けられたが、問答無用に伸ばした指先でそっと頬に触れた。ビクッとジュダルの背中が硬直したのを指先に伝わる振動で感じる。怖がっている彼の心身を掌握すべく、ジャーファルは漆黒の前髪が掠めている肌を優しく指の腹で撫でてやった。
「大丈夫ですよ」
 柔らかな声調を奏で、吐息を交えて耳朶の近くでそっと囁く。反対側の掌を彼の頭部に回し、黒髪を優しく梳いてやる。
「私が、楽にしてあげます」
「……っ」
 ふわりと包み込むように抱き留めると、肩口にポタリと温かな滴が零れ落ちた。それが彼の涙だったと気が付いたのは、首の付け根に手刀を叩き付けて彼の意識を奪った後だった。