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彗クロ 3

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 カーラはまたしても首を傾げた。ちょっと可愛い……ではなく、実に面倒くさい。その上、捨て置けない雰囲気が芬々としている。
 レグルを頭上の穴を振り返った。降りられる場所を探すから、変に動き回るなよ――ルークに釘を刺されたことが否応なく思い出される。
 ……だがしかし、だ。
「お前、ちょっとハナシ下手だな。他に話のできるヤツはいないのか?」
 明らかな貶し文句も気にとめず、カーラはあっさりとうなずいた。
「いるわ」
「じゃ、そいつのいるとこ連れてけよ」
「どうして?」
「興味があるから。あと、帰り道しりたい」
「そう。それはわたしにはわからないことね。――こっちよ」
 カーラは恬淡と長い裾を翻し、遺跡の奥を示した。腿のあたりにまで達する絹如き髪が、一瞬だけ、さらりと美しく舞い広がった。金と鋼の狭間のような淡いその色に、レグルは記憶のどこか暗い場所に薄日が差し込むような予兆を覚える。
 それを振り払うように、レグルはもう一度だけ誰もいない頭上を見上げた。歩廊をぽっかりぶった切っている大穴に向けて、申し訳なさそうに歪めた顔の前で小さく謝罪の合掌を作ってから、身を翻し、出会ったばかりの少女の後に続いた。
 ……同胞と呼ばれる存在に対して、口で言うほどの情や仲間意識は、実のところ持ち合わせてはいない。妙な連中に絡まれる可能性を考えると面倒だし、あとあとを考えるとルークも怖い。
 けれどやはり、どうしても放ってもおけない。
 腰に帯びた刀と右足の金環。二つの『力』の存在を意識下に確かめながら、レグルは腹を括ってカーラの長い髪を追った。

作品名:彗クロ 3 作家名:朝脱走犯