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この想いを

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ベルゼブブは落下する。
道へと落ちた。
そのベルゼブブの身体の上に、折れたビルの破片が落ちてくる。
大きな破片が容赦なくベルゼブブの身体を打つ。
気が遠くなりかける。
しかし、今ここで気を失うわけにはいかない。
自分の身体の下に佐隈がいる。
ベルゼブブが気を失えば、折れたビルの下敷きとなり、佐隈は押しつぶされてしまうかもしれない。
佐隈が死ぬ。
それだけは。
どうしても。
どうしても、どうしても、嫌だ。
どうしても嫌だ。
その一心で、ベルゼブブは衝撃と痛みにひたすら耐える。
やがて、あたりが静かになった。
折れたビルの破片はすべて落下し終わったのだろう。
あの怪物は土人形にもどったのかもしれない。
だが、これで安全になったわけではない。
ベルゼブブと佐隈は折れたビルの大きな破片の下にいる。
自分はそれでもいい。
けれども、佐隈をこのままにしておけない。
ベルゼブブは吼えた。
身体はひどく痛むが、力をふりしぼる。
「ああ……っ」
佐隈を胸に引き寄せて抱き、自分の身体の上にある巨大なビルの破片を押しのけ、進む。
血が自分の身体をつたい道へと落ちる。
全身に強い痛みがある。
うめいて暴れたいぐらいの痛みだ。
いっそ気を失ってしまったほうが楽だろう。
そう思うが、ベルゼブブは精一杯の力で進み続ける。
自分には守りたいものがある。
今、自分の腕に抱いている。
怪物に捕らえられても、ベルゼブブのグリモアを決して手放そうとはしなかった彼女。
この温もりを失いたくない。
助けたい。
守りたい。
だから、進む。
作品名:この想いを 作家名:hujio