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無未河 大智/TTjr
無未河 大智/TTjr
novelistID. 26082
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とある夢幻の複写能力<オールマイティ>

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その製造元さえ断ってしまえば、実験の続行は不可能になる
俺は必死で地下へ通じる道を探した
どれくらい時間が経っただろうか
やっと俺はその通路を見つけ、隙を見て飛び込んだ
梯を使って下りると、そこは何やらオペレーションルームの様だった
しかし、一部が破壊されていた
そして
「布束!」
布束が、見ず知らずの人間達に暴行されていた
「このやろう!」
俺はすぐさま空間移動して、男共をやった
「―全く、誰ですか。超迷惑極まりないんですけど」
フードを被った少女が、俺に拳を投げてきた
俺はそれを軽々と避けて、フードの少女を向き直る
そこには、見覚えのある少女がいた
いや、見覚えどころではない
同じ実験の被験者だった少女だ
「…あなたは…木原叶ですか…。超どうしてここにいるんですか」
絹旗最愛だ
『暗闇の五月計画』の被験者であり、大能力者の窒素装甲
「絹旗…」
そして、暗部組織、アイテムの構成員だ
「どうしてここに…」
「さっきも言いましたけど、それは超こっちの台詞です。あなたは超何をしにここに来たんですか」
そうか、じゃあ、あっちには麦野がいるのか…
「俺はこの実験を止めるためにここに来た。お前は」
「私は超雇われて来ました。実験の事なんて超知りません」
やはり、か…
だとしても、だ
「こんな形で再会することになろうとはな、絹旗ちゃん」
「…私は超会いたくなかったですけどね、叶さん」
それが俺達の距離だった
同じ実験の被験者だからか
それなりの情はあった
しかしある一線を越える事なく終わった
それはあいつがいたせいでもある
「黒夜はどうした」
「さあ。実験の研究者達を殺して研究所を出ていったことまでは超知ってますが、そのあとの事なんて超知りません」
そこまでは俺も知っていた
黒夜の事は昔から追っているが、未だに尻尾が掴めないでいた
少し期待したが、何も出なかったようだ
「なんにせよ、噂は超聞いてますよ、『八人目』。ですが、あなたも超不穏分子みたいですね」
言うと思ったよ
どうやら、昔からその性格は変わってないみたいだな
「しかし、私があなたに勝てるなんて、超微塵も思ってません。すみませんが、女を抱えているあなたは私と超一緒に来てください。残りのお二方は彼を超押さえていてください」
男共はそれぞれ了解の意を絹旗に伝えると、俺に向かってきた
「ちょっと待て、絹旗!」
俺はそれをいなしながら絹旗を呼び止めた
「なんですか。こっちは超忙しいんですよ」
「お前は、望んで暗部に浸るのか?」
絹旗は、足を止めて俺に向き直って言った
「…ええ、そうですよ。あなたとは超違うんですよ。この街の暗闇から逃げた、超弱虫のあなたとは」
そして絹旗は、布束を連れて逃げていった
「…ハハッ、弱虫か」
俺は呆れた声をだした
「確かに、そうかもな」
男共が俺に向かって拳を振り上げる
しかし俺は動かない
「でも俺は、弱者じゃないぞ」
男共は拳を振り下ろした
しかし、俺が痛がることはなかった
逆に男共が痛みだす
拳を抱えてうめき声をあげていた
窒素装甲
俺は、絹旗の能力を使って防いだ
「どうだ、痛いだろう。これがあいつの能力だ」
そして俺の周りに、光の球体が数個発生した
そこからレーザーのようなものが発射された
わざと男共を避ける様にして
「そしてこれが、お前ら『アイテム』のリーダーの能力だ。死にたくなかったら、とっとと失せろ」
俺は静かに言い放った
すると男共は一目散に逃げていった
それでいい
俺は人を殺めるような事はしたくなかった
「…しっかし」
男達が去っていった方を見ながら、俺は頭を掻いた
理由は明白
「布束を助け損ねちまった…」
今からでも空間移動すれば追いつけるとは思う
しかしこの建物の全体像は把握していない
もし跳んで、その座標に変なものがあれば取り替えしのつかないことになる
俺はそれを避けたかった
…とりあえず、まずは自分の保身に走ろう
布束の事はそれから考えればいい
そう思って振り返る
その時、俺は何か得体の知れないものを見つけた
大きめのカプセルに、薬品の混ざっていると思われる液体に浸かった幼女の裸体
…いや信じてほしいが、俺は断じてロリコンではない
まあ、番号無しを保護した時点でそんなこと言えないのはわかってるんだよ
閑話休題(それは置いといて)
そして俺は大きなディスプレイに目をやった
布束がなにかをしでかしたのであろう、エラー報告のメッセージ
おそらく、今から生まれる予定の『妹達』の検体番号が書かれているのだろうが、少し奇妙な一文があった
『上位個体20001号のものでないコード』
俺はその一文に引っ掛かった
上位個体…
20001号…
確か、計画に必要な『妹達』は二万体
さらにミサカ00000号(フルチューニング)と呼ばれる個体もあったはずだ
しかし、20001号とは聞いたことがない
だが考えている暇はない
考え事はあとだ
これ以上は怪しまれる
とりあえず、俺は出来る限りの情報を頭に叩き込んだ
そしてすぐさま空間移動して、何食わぬ顔でグランドフロアのトイレから姿を現した
無論、用を足していたという口実を作るためだ
俺は目論見通り研究員達にそう言い放ち、その場をやり過ごした



次の日、八月二十日
俺は母親に帰りが遅かったことを叱られ、その足で一七七支部にいた
そこには浮かない顔をした固法さんがいた
「どうした、固法さん」
思わず俺は固法さんに聞いた
「天岡君…。あの、御坂さんの事なんだけど…」
俺はもしやと思った
だが俺はポーカーフェイスを貫き、聞き返した
「御坂がどうした」
「それがね、白井さんによると、疲れたように寝込んでるんだって…」
無理もないか
昨日麦野と…超能力者第四位と戦ったんだからな
一応、生きているなら勝ったんだろう
それに、あの製薬会社も再起不能なほど破壊されたと聞く
つまり成し遂げたみたいだ
一応、Sプロセッサ社は逃げたみたいだが
つまり残り一基
しかし一基あるだけで存続できるのがあの計画の利点だ
それにさらに施設が増えてしまったら…
そう考えるだけでも恐ろしかった
「…まあ、中学生なんだし、いろいろあるんじゃないのか?」
そんなことを考えながら俺は返事をした
「しかも、毎晩毎晩帰りが遅いらしいし…」
それはある程度…な
「夜遊びでもしてるんじゃないのか?」
「いや、御坂さんに限ってそんな…なんてのは違うか」
固法さん、ホントその通りだよ
あいつはおしとやかそうに見えて、結構破天荒だしな…
あのツンツン頭の男を追い回す程度には…
「ま、それならあんまり心配はいらないわね」
俺達は、仕事を片付けることにした
そしてその夜
残っていたのであろう仕事を片付けて遅くに帰宅した母親が、遅い晩飯を食べながら俺に問うて来た
「そういえば叶、御坂さんどうしたの?」
「どうしたって?」
学校でなにかあったのだろうか
それともあの実験絡みか?
そんなことを思いつつ聞き返してみた
「いや、最近御坂さんを学外でよく見るなって思ってたんだけど、本人に聞いたらその時は別の場所にいて、言い方悪いけどしかもアリバイがあるらしいのよね」
まさか…
一つ思い当たる節はあるが、俺は何も知らないふうに返した