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無未河 大智/TTjr
無未河 大智/TTjr
novelistID. 26082
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とある夢幻の複写能力<オールマイティ>

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そう思っていた時、御坂の携帯電話の所在ポイントが、ある場所を示した
―Kaiou University
あの大学…
そういえば、引き継ぎ施設のリストの中にあったな…
…まさか
「まさか御坂、潰しにかかるのか…?」
いや確かに行けるかもしれないが、万が一ばれたら…
その時だった
「電話…」
俺の携帯電話が鳴りはじめた
ウインドウには、紅葉と表示されていた
俺は通話ボタンを押してそれに応じた
「…どうした紅葉」
『ハーイ『八人目』、夏休みは満喫してるかしら?』
…あの野郎
「ほどほどにな…って、そんなことで掛けてきてんじゃねーよ」
思わず怒声を放ってしまった
『そんな怒らないでよ、叶。たった今入ってきた情報だけど、いるかしら』
…こういうときばっかり使える情報を持ってくるんだろうな…
「…なんだよ」
『数分前、第七学区の路地裏で、御坂美琴に似た遺体が発見された』
まさか…
『まさか、って顔してるわね。その通りよ。さっき、第一○○三一次実験が終了したっていう情報が入ってきたわ』
「心読むような真似するんじゃねぇ。…やっぱり、実験は続けられていたか…」
『流石に施設あんだけ破壊されただけで、止まるような実験じゃないってあなたも分かってたでしょ?』
「その通りだよ。とりあえず、次の一○○三二次実験の開始時間を調べてくれ」
『了解。あとでなんかお礼しなさいよ』
「阿保か。黙ってたらやってやったわ。言われたらそんな気力失せるわ」
実際、こいつは情報を寄越すと何か謝礼を要求して来るのだ
『ホントに?嘘じゃないでしょうね』
「当たり前だ。…今回はしゃーないから、どっかのレストランでパフェでも奢ってやるよ」
『ありがと。じゃあ、次からは黙ってるわ』
そうしたら、この前の大覇星祭の時に頼った時は本当に黙っていやがった
当たり前のように、謝礼はしたが
「じゃあな、紅葉。情報サンキュ」
『あいよ』
そこで電話は切れた
「…ということは御坂、どっかでひしがれているかもしれないな」
というわけで俺は、空間移動を開始した
まだ第二十三学区から帰って来ていないかもしれないが、俺はあいつが行きそうなところを順繰りした
そして奴は見つかった
場所は第七学区郊外の鉄橋
時刻は夜八時十分
さっき紅葉から電話がかかってきて、実験開始時間は八時半だそうだ
まだ時間はある
そう思っていた矢先の事だった
「御坂!」
俺はそこで誰かを相手に電撃を放っている御坂を発見した
しかもその先にいたのは上条だった
だが、俺に気づいていない様だった
御坂は電撃を放ち続けていた
そのせいで煙が舞い上がり、かろうじて確認できていた上条の姿が見えない
少し経つと、煙が晴れてきた
そこに上条は立っていたが、なにかおかしいところがあった
なんと、その体はぼろぼろだったのだ
「なん…で」
「言っただろ。お前とは戦わない」
別に隠れているわけではないので当たり前なのだが、二人の会話が聞こえてきた
「…ッ、どうしてよ!?こんなイカれた実験間違ってるって思うでしょ!それをやめさせようとしてるんじゃない!!」
御坂の悲痛の叫びが聞こえてきた
本当は、彼女だってこんなことしたくないはずだ
だけど、止まるわけにはいかなくて上条に対してこんなことをしているのだ
…いや、上条なら右手を使って電撃を掻き消していたはずだ
それをしていないということは、本当にあいつは戦わない気なのだろう
「なんで止めるのよっ!!!」
そんな叫びを聞いていた上条は、ようやくその口を開いた
「ああ、間違ってる。こんなモンの為に、誰かが傷つくなんて」
「だったら!」
御坂は反論しようとした
しかしそれは叶わなかった
「けどお前のやり方じゃ、お前が救われない」
上条はそういい切った
その通りだ
多分、あいつは自身が死ぬことで実験を止めようとしているのだろう
確かに、それで『妹達』は助かるかもしれない
じゃあ、御坂はどうなる
御坂はそれでいいのか?
いいわけがない
白井も
初春も
佐天も
固法さんも
御坂の親御さんも
それこそ俺だってだ
みんな、どうなる
お前を中心に回ってきたみんなはどうなるんだ
そう、上条は言いたかったんだろう
「だから、どかない」
だから、ああ言ったんだろう
「何を…言ってんのよ」
だがそれは、通じなかったようだ
「私にはっ、今さらそんな言葉かけてもらえるような資格はないんだから」
彼女は叫んでいた
「仮にもっ、誰もが笑っていられる幸せな世界があったとしても、そこに私の居場所はないんだからっ」
心では、彼女は泣いていた
心を読まなくてもわかる
俺も…そういう人間だったからな
「…それで」
すると上条も言い返した
「残された妹達(いもうとたち)がお前に感謝するとでも思ってんのか?」
その言葉に、ようやく御坂は気付いたようだ
自らの愚かさに
「…っ!」
しかし認めなかった
御坂は周りに自身の最大の電撃を放った
「うるさいのよアンタ…」
その電気は、近くの空気や鉄筋に帯電していた
「あの子達だって…。あの子達だって私が死ねば少しは気が楽になるわよ」
その目は怯えていた
何に対して怯えているのか
それは明白だろう
「もう私が死ぬしか方法はないんだから、ひとりの命で一万人が助かるなら素晴らしいことでしょ」
やめろ御坂
そんなの、お前らしくないぞ
「もうそれでいいじゃない。だからそこを…」

俺はいつ止めに入ろうかを図っていた
しかし、必要ないかもしれない
「どかない」
上条が、それでも動かなかったからだ
刹那、御坂の目が歪んだ
そして彼女を中心に電流がほとばしり、橋が爆発した
被害はでかかったものの、橋自体は傷つかなかった
御坂はその時気付いた
―上条が倒れている事を
気絶している事を
俺はゆっくり御坂に立ち寄った
「…もう、いいんじゃないのか」
その声を聞いて、御坂は振り返った
「…見てたの?」
「人聞きの悪いことを言うな。お前を探していたんだ。どうせ自分を犠牲にして、計画を止めようとするんじゃないかと思ってな」
御坂は呆れた顔をした
「…そうね。あいつがいなかったら、そうしてたかもね」
彼女はそっと、上条に近づき、その頭を抱えて自身の膝の上にのせた
よく言う、ひざ枕というやつだ
「あんたはどうすんの」
不意に御坂が聞いてきた
「…おはずかしながら、今日はずっと能力使いっぱなしで、さっきお前の電気を防ぐのに精一杯で、一方通行相手ならあんまり戦えないと思う」
「…そう」
御坂は俯いた
「でもまあ、サポートくらいなら出来ないこともない。情けないけどな。『八人目』の名が泣くぜ」
「ホントその通りよ」
御坂は笑顔だった
無理して笑っているのかもしれない
「…どうするの」
「実験開始まで十五分を切っているはずだ。とりあえず、急いで実験座標まで行く。お前は?」
御坂は、少し俯いて答えた
「私は…この馬鹿を見てるわ。私がやっちゃったんだし」
いや、俯いたのではない
上条を見つめていたのだ
「…そうか。じゃあ、行くわ」
俺はすぐさま空間移動した
「―とね…」
だから、その言葉を聞き取ることは出来なかった
俺は夢中で飛びつづけた
急がないと、また犠牲が増えてしまう
その一心で飛んでいた