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無未河 大智/TTjr
無未河 大智/TTjr
novelistID. 26082
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とある夢幻の複写能力<オールマイティ>

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「実験の時に受けた傷は、ほとんど完治しました。しかし、先日無理をして外出した時に、古傷が開いてしまいましたと、ミサカは近況を報告します」
少女は相変わらず淡々と話していた
「ああ、あの『残骸』のときのことか。あれは仕方なくね?」
その時は、叶は直接手を下していなかったが、美琴や当麻、一方通行から事情は聞いていた
「そうですか?と、ミサカは疑問に思います。ミサカはただ、あの少年に助けを求め、そして古傷が開いただけですと、ミサカは自身を卑下します」
「いや、助けを求めるのは、何も悪いことじゃない。それに人選は間違っていなかった。…あいつ、ホントにお人よしだからな」
そして叶は、少し含み笑いをした
「どうしたのですかと、ミサカは貴方に疑問を持ちます」
その疑問に、叶は笑って答えた
「いや、自分をモルモットだと信じて疑わなかったお前が、助けを求めるくらいにまで成長してくれたのが嬉しくてな」
「いえ、あれはミサカ個人の意志ではなく、ミサカネットワーク総意の意志ですと、ミサカは事実を述べます」
「それでも、お前を助けた意味はあったよ」
ミサカは少し疑問に思った顔を浮かべていたが、すぐにいつも通りの顔を取り戻した
そして少し会話をして、二人は別れた
叶は少し歩き、学舎の園の近くにあるカフェへと来ていた
ある人物に会うためだ
案の定、そこに彼女はいた
「…食蜂…操祈…」
叶が呼ぶと、少女は振り返った
「…あら、天岡さんではないですか」
彼女は笑顔だった
食蜂操祈
常盤台中学二年
超能力者第五位の心理掌握だ
その彼女は、今日も取り巻きを据えてカフェでアフタヌーンティーを楽しんでいた
「貴方は一体?女王とはどんな関係で?」
取り巻きの一人が、操祈と叶の間に割って入る
それをみた操祈は、すかさずリモコンを取り出した
しかし叶は、やめろと目で言い、静かに話した
「常盤台に天岡祐樹って教師いるだろ。あれ、俺の母親だ」
淡々と事実だけを述べた
「あら、天岡先生の息子さんでしたの。これは失礼」
どうやらそれだけで納得してくれたらしい
叶は内心ほっとして、話を続けた
「ちょいと食蜂に用がある。席を外してくれないか」
「わかりました。ですが、天岡先生の息子さんとはいえ、女王に何か変な事をしたらただじゃおきませんからね」
それだけ言うと、取り巻き達は去っていった
そして叶は操祈の目の前に座った
「…ただじゃおかないって、あいつらの方が痛い目みると思うんだが」
「そうですね。…お噂は兼がね聞いていますよ、『八人目』」
「さっきは知り合いのふりをしてくれて助かったよ、第五位」
実はこの二人、たった今初めて会ったばかりなのだ
「どうしてここが分かったのかしら。貴方の家からは少し遠いのではなくて?」
「こっちにはいろいろな情報網があるんだよ。…ま、お前の事は御坂から聞いたんだがな」
「へぇ〜、御坂さんが…」
それでも操祈は余裕の表情を崩さなかった
ムッとなった叶は、目的を果たすことにした
「…さて、本題に入ろうか」
叶は真剣な面持ちで話しはじめた
「最近、何をしているんだ。大覇星祭の時、怪しい動きをしていたみたいだな」
無論、大覇星祭の時に起きた、10032号の誘拐事件のことだ
叶は、別の事件を追っていた為、そういうことがあったとしか報告を受けていなかった
ということで、真相を探るべくこんな酔狂なところまで足を引っ張ってきたのだ
「あら、『八人目』はそんなことに興味があるの?それなら、私じゃなくても、それこそ御坂さんの口から聞けばいいじゃない」
叶のどこかで、ピキピキと音を立て始めていた
「…それを画策した張本人から聞きたかったんだよ」
しかし、操祈の性格を熟知していた叶はその場を押さえて見せた
それをみた操祈は、内心含み笑いをしていたのは言うまでもない
「ま、目的はそれだけじゃないし。どうしても言いたくないんなら言わなくてもいい」
叶はそう言い放つと、席から立ち上がった
そして
「―っ!」
未だに座っていた操祈の肩に手を置いた
「…ま、そういうこった」
その言葉を聞いた瞬間、操祈は立ち上がり、去って行こうとする叶に向けてリモコンを向けた
「…まさか、それが目的だったとはね」
「まあ、半分な。もう半分は、さっきの事を聞きたかっただけだよ」
そうだ
叶は食蜂の肩に手を置いた瞬間、微かに地肌に触れていた部分から能力を複写していたのだ
それに気付いた操祈は、微かに歯噛みしていた
しかし
「―あ、いいこと思い付いちゃった☆」
操祈はリモコンを持つ右手に力を込める
「なんだよ。逃げる算段でも思い付いたか?」
「違うわよ。貴方のその能力、私が能力で改竄したらどーなるのかしら?」
確かに、操祈の能力ならばそれが出来るかもしれない
「さあ、どうだかな。やってみろよ、食蜂」
挑発に乗った操祈は、リモコンのボタンを押した
その瞬間、叶はにぃっと笑っていた
そして
「…っ、つー…」
その能力は、叶の目の前に張られた何かによって阻まれた
電磁バリアだ
「…あれ?」
「ったく、いてーな食蜂。あと、残念でした。御坂から全部聞いてるって。お前の能力が、電撃使いの能力で弾けるってことも含めてな」
叶は頭を押さえて解説した
どうやら電磁バリアを張っているとは言え、それなりのダメージはあるらしい
「まあ、第一位の能力で反射してもよかったんだが、それはそれで後々めんどくさいじゃん。だから防ぐことにしたわけ」
「…なーんだ、おもしろくない。でも…」
操祈はきびすを返して叶に背を向けて
「いつかは、そのチカラを破ってみせるゾ☆」
目だけを叶に向けて言い放った
そして少女は去っていった
携帯電話で取り巻き達を呼び出して
「…なーにが…」
叶はその様子を見ているだけだった
「『そのチカラを破ってみせるゾ☆』だよ…。結局、あいつも世間知らずのお嬢様か…」
第五位の少女に対して、ぼやきながら
叶はそれだけ言うと、その場を立ち去った
一つだけ忘れかけていた用事を済ませるために
「ただいまー」
叶が家に帰ると、既に五時を回っていた
「おそーいって、ミサカはぶーたれてみる!」
案の定、番号無しに怒られる
「悪かったな。たまたま出会った知り合いと話し込んじまってな」
嘘はついていない
叶は罰の悪そうな顔をして少女に謝った
「もうすぐ晩御飯の時間だから、アイスは夜だねって、ミサカは大人ぶって目の前の供物を我慢してみる」
「そうだな。母さんはまだか?」
「うん。もうすぐ帰るって連絡はあったよって、ミサカは状況報告をしてみたり」
「じゃ、大人しくテレビでも見て待っていようか」
「はーいって、ミサカは右手を挙げて叶について行くー」
そして二人は居間でテレビを見て、母親の帰りを待つのであった
この一週間後、起きる事件など予想だにもせずに…