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無未河 大智/TTjr
無未河 大智/TTjr
novelistID. 26082
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とある夢幻の複写能力<オールマイティ>

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「…自由ってことは、裏を返せば自立心を尊重するってことだ。つまり、校則で縛られていないから何もしなくていいんじゃなくて、校則で縛られていないからこそ自分達で何とかしなくちゃいけないんだよ。分かるか?」
「はい…」
「ま、そういうことだ」
叶は優しく飾利を諭していたようだが、それでも飾利の心にはぐさりと来たようだ
―ま、すぐに立ち直るだろ
そう思って、叶は扉の電子ロックの前に立った
「じゃ行ってくるわ」
そして開錠して外に出た
ちなみにこの十分ほど後に仕事が飛んで来て飾利の機嫌が治ったのは言うまでもない
「遅かったじゃないかって、ミサカは少し怒ってみる」
少しだけ少女を諭して去ってきた少年を待ち受けていたのは、腕を組んで踏ん反り返っていたクローンの少女だった
「悪いな。世間話してて遅くなったわ」
「相手は女か、女なんだな!ってミサカはにわかに怪しがっている!」
「つっても同僚だぞ?そんな気起こさなくね?」
「ミサカにも起こさないのか!って、ミサカはちょっと怒ってみる!」
そんなことしたら犯罪ものである
てか犯罪だ
「…さて、どこに行くよ」
「華麗にスルーされたー!って、ミサカはちょっと理不尽に思ってみたり!」
それでも叶は番号無しをスルーしつづける
「で、どこに行きたい?」
「とりあえずその辺をうろつき回ろうって、ミサカは提案してみたり」
どうやら目的が無いらしい
「でもお腹すいたかもって、ミサカはちょっとしょんぼりしてみる」
「ま、飯も食わずに出てきたから当然か」
というわけで、二人は地下街へ繰り出すことにした
…と、そんなわけだったのだが
「…見失った…だと…?」
階段を使って地下街へと入った瞬間、どういうわけか番号無しの姿がなくなっていたのだ
―はぐれるなよって釘刺しておいたはずなんだがな…
舌打ちをしながら叶は独語する
まあ、花を摘みに(比喩表現)行った可能性も拭えないので、叶は近くのベンチで待つことにした
そして小一時間が経った
一向に少女が現れる気配が無い
既に一時過ぎだ
この間に叶は簡単に昼食を済ませ、トイレへ用を足しに行ったりもしたが、それでも出くわすことはなかった
「これは…」
叶は、一番考えたくなかったものに着手する
「…迷子か…」
少年は、ここ一番で最も大きなため息をついた
「しゃァねェ。探すか」
叶は重い腰を上げた
既に彼の口調は変わっている
その状態のままある能力を使用した
複写能力二つ目の副次能力
能力検索(パーソナルソナー)という能力だ
自身が複写した能力の持ち主を、半径一キロメートル圏内で探すことが出来るという能力だ
簡単に言うならば、自身が直接触れたことのある人間の居場所が近場ならば分かるというものだ
暗部組織『アイテム』所属の大能力者、滝壺理后の『能力追跡』の下位互換といったところか
あれは『体晶』を使わないとまともに機能できないが、こちらに関しては叶が本気になる(=感情が高ぶる)事によって能力が発動できるので、便利といえば便利である
とはいえ一長一短といったところか
叶は目を閉じて検索を開始した
―対象は欠陥電気
 …見つけた
叶は出口とは逆の方向へ走った
その座標に番号無しがいる
…はずだった
「…あれ?」
そこに十歳ぐらいの少女の姿はなかった
そこにあったのは中学生ぐらいの少女の姿だった
そこにいた少女は常盤台中学の冬服を着ていた
そこにいた少女は頭にゴーグルのようなものを装着していなかった
「…御坂美琴…か?」
「違いますと、ミサカは否定します」
否定された
淡々とした喋り方
叶には嫌というほどの心当たりがあった
「…検体番号は?」
「10032号ですと、ミサカは質問に応答します」
そこにいたのは、御坂妹(命名上条)だった
どうやら欠陥電気の能力を追っていたら御坂妹に引っ掛かってしまったらしい
「10032号、番号無しを見たか?」
「いえ、見ていませんがと、ミサカは簡潔に答えます。ただ、この近くにいるのは確かのようですと、ミサカは情報を提示します」
とはいえ情報は得られた
叶は少しだけ安堵するとともに、ある疑問が浮かんできた
「そういえば、なんでゴーグルをしてないんだ?」
『妹達』は、基本的に目に見えない電磁波などを視覚化する暗視ゴーグルを装着している
それは、オリジナルである美琴との差を埋めるためのものでもある
しかし、御坂妹にはそれがなかった
「実は、上位個体に強奪されてしまったのですと、ミサカは懇切丁寧に説明します。さらに、予備が無くて困っているのです」
上位個体とは、打ち止めのことだろう
彼女の年相応の悪戯好きは、実に困ったものだ
「なるほど。それは災難だったな」
「はい。それでは、ミサカは上位個体を探しますので貴方も迷子探し頑張ってくださいと、ミサカは親指を立てつつ健闘を祈ります」
「そっちもがんばれよ」
そんなこんなで御坂妹は去って行った
そしてふと思う
―探してどうするつもりだ…?
しかしそんなこと考えている隙はない
叶はもう一度能力を展開した
「…北西の方向10メートル…」
本当に近くだった
「ったく、心配かけさせやがって。もう、10032号みたいにはならないよな」
そういうときに限って発生するのが…
「おおっとー、見知った顔はっけーんって、ミサカはミサカは顔見知りのお兄さんを指さしてみたりー!」
…お約束というやつである
「…いや、確かにこいつの妹だけどさぁ…」
そんな叶を見てクローンの少女は首を傾げていた
「なあ打ち止め、番号無し見なかったか?」
とりあえず聞いてみる
どうやら御坂妹の証言通り、彼女から奪ったのであろうゴーグルを首から下げていた
「うんん、見てないよって、ミサカはミサカは正直に話してみる。…もしかして迷子?って、ミサカはミサカは質問を返してみたり」
「ああ。…ったく、あいつ自分が公に出来ない存在だって分かってんのかねぇ…」
「多分、理解してないよって、ミサカはミサカは事実を述べてみる。だってミサカもそうだもの」
「いや、お前は理解しとけよ」
「だってめんどくさいもんって、ミサカはミサカは要求を断ってみる」
「…はぁ」
叶は眉間に手を当ててため息をついた
「まあいいや…ってお前、保護者はどうした」
保護者とは無論、一方通行の事である
「今は10032号から逃げているので、帰ることが出来ないのだ!って、ミサカはミサカは自慢げに話してみる!」
「自慢になってねー」
叶は今日何度目かのため息をつくのであった
その頃、その番号無しはというと
「おおっと、あの実験のヒーローはっけーんって、ミサカはツンツン頭の少年を指さしてみたりー!」
どうやら学園都市最強の不幸男に出会っていたようだ
「…ミニ御坂?」
かくいう当麻は謎の生物の襲来に困惑していた
「失敬な!ミサカには『番号無し』という個体名があるわ!って、ミサカはちょっとぶーたれている!」
…というような感じで当麻と番号無しのファーストコンタクトが開始された



「さてと、番号無し探しに行くか。打ち止めはどうする?」
叶は腹が減ったとほざいていたアホ毛の少女の欲求を満たすと、座っていたベンチから立ち上がった