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無未河 大智/TTjr
無未河 大智/TTjr
novelistID. 26082
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とある夢幻の複写能力<オールマイティ>

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才能が無いものが、才能を持つものに憧れて作った理
忘れるどころか興味さえ持っていた
―ま、能力が使えるってことは才能があるってことらしいし、俺には使えないか
叶はそういうふうに納得し、記憶の片隅に置いておくことにした
「んじゃま、もう完全下校時刻だ。そろそろ帰れ」
「お前は?」
「まだ仕事残ってるから」
「そうか。んじゃ、帰るわ。行くぞ、インデックス」
当麻はそれだけ言い残し、銀髪の少女を引き連れて去って行った
「じゃ、行くぞ番号無し」
「はーいって、ミサカは叶について行くー」
そして二人は地下街から出て行った
時刻は五時半
叶は少女を引き連れて風紀委員第一七七支部へと向かった



その頃
『猟犬部隊、木原数多』
誰かが誰かを呼び出す
呼び出した方の人間は、大きな装置の中に逆さまで入っていた
その装置は何かの液体で満たされている
生命維持装置
そのプロトタイプがそれだった
『はい』
生命維持装置の中の人間は、どこかの通信回線を開いて誰かを呼び出す
そして用件を告げる
『学園都市に侵入者、至急対策を講じるため、最終信号の確保を。邪魔するものは殺していい』
『了解』
いやいや、といった声で呼び出された方は応えた
既に、侵入者は学園都市の住人の牙を剥いていた



残っていた作業を済ませた叶は、番号無しを引き連れて帰路へとついていた
「帰ったらまず風呂だな」
「いいや、ご飯だね!って、ミサカは希望を述べてみる!」
というような会話をしているうちに自宅まで十五分の距離だった
「…というか、お前のせいで疲れたんだよ俺は」
「それは素直に謝るって、ミサカは謝罪しながらしょんぼりしてみる。でも目の前にあった食べ物達がミサカを誘惑したんだもんって、ミサカは弁解してみる」
「ま、いいけどさ」
そんな風に駄弁っているときだった
突然、轟ッ!という爆音が聞こえてきた
「…これは…自動車が爆発した音…」
叶は顔をしかめながらも冷静に分析していた
「調べに行きたいが、こいつを連れていくのはちょっとな…」
少年は仕方ないという顔をして少女を抱え込んだ
「わわわ、一体何なのかなって、ミサカは困惑していたり」
「ちょっとテレポートするから、しっかり捕まってろよ」
「あわわわわ」
刹那、その場から二人の姿が消えた
幾度かの空間移動の後、番号無しの視界にあったのは自宅マンションの部屋の扉だった
「ただいま!」
叶は番号無しを下ろす事なく扉を開けた
「どうしたのよ、そんなに慌てて…って、言うまでもないか」
息子が帰ってきた声を聞いて、母親が中から出てきた
その息子は抱えていた少女を母親に預けて言う
「ちょっと調べてくる。ただの事故だったらいいんだけど…なんか嫌な予感がするんだ」
「…わかった。でも、何があっても無事で帰ってくるのよ」
危険があると分かっていても母親は止めない
彼にはそれだけの力があるということは、母親が一番分かっていた
しかし心配というわけではない
だがそれで止まらないということも分かっていた
「…行ってくる」
叶はそれを分かった上で扉をくぐり抜けて行くのだった
外は、雨が降っていた
叶はすぐさま空間移動を開始した
現場まではそう遠くない
一瞬、竜巻のようなもので何かが飛んでいったように見えたが気にしている場合ではない
少年はすぐに駆け付けた
既にそこは、火の海だった
その近くで、一人の少年が倒れていた
白髪の少年
叶には見覚えがあった
いや、見覚えどころではない
叶は迷わずその名を呼んだ
「一方通行!」
少年は倒れている男の体を抱える
「オマエ…どォして」
「そんなことは後だ」
そう言って、叶は首謀者と思しき人物を見据える
「んな…」
その目に映ったのは、彼が一番会いたくなかった人物だった
「木原…数多…」
猟犬部隊リーダー
木原一族の傭兵とも言うべき存在
そして、叶の従兄
木原数多
彼がそこにいた
「あ?てめぇ…叶か。こんなところで会うなんて奇遇だなァ!」
数多が近づいてくる
「お生憎さま、お前とは話をしてる余裕は無いんでね」
そういいつつ叶は一方通行の首元に手をやった
そして彼の体を抱き抱える
「んじゃ、そういうことで」
そういった刹那、叶はその場から消えた
「…逃がしたか」
数多は舌打ちを飛ばす
「A班からC班はガキの捜索!D班、E班は一方通行と叶を探せ!残りは…あ?」
数多は的確な指示を飛ばす
しかし、その言葉は思わぬものによって阻まれる
黄色い服を着て、大きなハンマーを持ち、舌に十字架の着いた長い鎖のピアスを付けた女性
数多はもちろんの事、この学園都市にいる大多数の人間が知らないことだが、彼女の名は前方のヴェント
ロシア正教に属する魔術師だ
神の右席、というローマ正教に属する者でもある
しかし、そんなことは数多にはどうでもよかった
一方通行を、叶を殺し損ねた気分に侵されていた数多は、残っていた部隊に対してこう告げる
「残りは…そうだな…俺について来い。あれを潰すぞ」
そして彼は始める
気分を害している靄を晴らすための殺しを
雑草をむしり取るような、害虫を殺すような、そんな感覚で
その頃
「大丈夫かよ、一方通行…」
叶と一方通行は、第七学区にある病院にいた
叶は一方通行に応急処置を施し、一方通行の首にあるチョーカー型の電極の充電をした
「…」
叶の問いに、一方通行は無言で返す
「まあ、予想は出来るがな。…そんで、打ち止めはどうした?」
「…木原の狙いはあのガキだ。だから、能力で飛ばして逃がした」
「なるほど。さっきの竜巻はそれか。大丈夫なんだろうな」
叶は訝しげな様子で訊く
「大丈夫だ。加減はしてあるから、なンとか逃げ切れば…」
その言葉に、叶は小さくため息をついた
そしてこう告げた
「しゃーないから、手伝ってやるよ」
「…これ以上は、オマエに迷惑かけたくねェンだがなァ」
「いや、俺も数多が何考えてるのか気になるんだよ。だから、打ち止め探すのはもののついでだ」
それを聞いて一方通行は黙り込んだ
「なーに、心配すんなよ。俺だって『妹達』の研究者の端くれだ。その『妹達』を使って何か企んでいるってのが見過ごせないだけだ」
それを聞いてなお黙り込む一方通行
そして少し考えるような仕草をした後、重々しく口を開く
「正直、俺だけじゃどォにもなンねェかもしれねェ。だから、頼む」
叶は、軽く頷いて学園都市最強に応えた
「じゃあ、俺はすぐにでも行く。お前はしっかり電極を充電しとけ」
「分かってる」
二人はそれだけ交わすとすぐに行動に移った
叶は空間移動して少女を探しに
一方通行は猟犬部隊を殺しつつ情報を集めた



数十分ほど探し回り、叶はようやく打ち止めを見つけた
しかし、最悪の形でだ
「数多!」
少女は何らかの方法で気絶させられ、木原数多の手にあった
実際には部隊の人間が少女を抱えているのだが
「ったく、任務完了だってのに、余計な仕事増やしてくれてんじゃねーよ」
ため息混じりに木原数多は言葉を発し、気怠そうに右手をあげる
すると数人の人間が叶に向けて銃口を向けた
「やれ」
その言葉を皮きりに、いくつもの銃口が火を噴く
放たれた銃弾は、全て少年への直撃コースをたどっていた
「…舐めてんじゃ…」