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無未河 大智/TTjr
無未河 大智/TTjr
novelistID. 26082
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とある夢幻の複写能力<オールマイティ>

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その問いに垣根は含み笑いをして答えた
「情報の信憑性を確かめただけだ。他意はない」
「なるほど、そォいうことか。とりあえず厄介なのは分かった」
叶は再び身構える
垣根が再び牙を生成して来たからだ
「そんなモン出したって、反射されるのがオチじゃねェのか?」
「だといいな」
垣根は静かに返事し、牙を発射する
その牙は叶とその周辺を狙うように飛翔する
どうやら避けるスペースをなくすためのようだ
―そんなことしなくてもよけねぇっての
しかしその読みは外れることになる
なんと牙達は反射の壁をすり抜けて叶へと牙を剥いたのだ
驚きながらも、叶は追撃を防ぐために窒素装甲を展開し、さらに原子崩しを使って盾を生成した
大多数は防げたものの、一割ほど防ぐことが出来なかった
しかし一割で抑えられたのは運がいい方なのだろう
叶はすぐさま演算に集中した
するとその体にあった傷が全て癒えたのだ
「肉体再生か。厄介な能力だな」
「これくらいしねェと戦えねェっての」
肉体再生
上条と同級生である土御門元春のもつ能力だ
訳あって叶は彼と知り合いなのだが、それは別の話
「さて、傷も癒えたことだし、反撃と行きますか」
叶は言葉とともに掌の上に光の球を生成した
その球は形を変え、一メートルほどの剣状の物に変形した
その剣は、端から見れば掌から生えているように見える
「なんだその剣。子供だましのつもりか?」
「そォ思うなら、避けなきゃいィじゃン」
叶は足元に能力を集中して飛び上がった
一方通行の恩恵により、叶の体は垣根と同じ高度まで達した
「なんか面白いことになってきたじゃねぇか。少しは楽しませてくれよ」
「楽しませるどころか、お前の顔を恐怖で引き攣らせてやるよ」
二人はニヤリと笑い、お互いへと迫りぶつかる
先に動いたのは叶だった
右手に出来た剣を垣根へ向けて振り下ろした
―あの剣はおそらく原子崩しで作った剣だろう
 しかし原子崩しで作ったとしてもあんなでかい剣を作るとなると自身の体を消し飛ばしかねない
 何か裏があるはずだ
垣根はそう考えながら翼を使って剣を避ける
その時だった
「―っ!」
叶は額にシワを寄せた
すると刹那、振り下ろされた刃が形を変え、垣根の方へと向かっていったのだ
「何!?」
垣根はまたも、避けるので精一杯だった
避けて安全を確認した後で周りを見渡す
「…無い。『屈折支援半導体』が無い」
原子崩しをふくむビーム状のものの軌道を曲げる方法はいくつかある
最もポピュラーなのは『屈折支援半導体』を使って曲げることだ
その可能性を仮定して垣根は辺りを見渡した
だが仮定が間違っていた
叶は『屈折支援半導体』など使っていない
「…発想はいィが、仮定が違うぜ垣根」
「どういうことだ」
叶は地面に着地して垣根を見上げる
「よっと。…さてと、原子崩しに関することだが、何も『屈折支援半導体』だけがこいつを曲げる方法じゃァない。もう一つあるぜ、俺にとっちゃ一番簡単な方法がなァ」
垣根は少し考えてある結論にたどり着く
「…電撃使いか…。原子崩しも、その分類は発電系能力。つまり、根っこは電撃使いと同じ。それを応用したわけか」
「ご名答ォ、かァァァァァァァァきねくゥゥゥゥゥゥゥゥン!流石に第二位の頭はそンなに単純じゃねェみてェだなァ!」
少し悪役っぽい口調になっているが気にしてはいけない
「…流石は、一方通行の苛虐性を植え付けられた被験者といったところか」
「あの実験に関しては俺もイライラきてンだ。とりあえず、まずはお前を殺す」
「種が割れてんだ。これ以上はもう当てさせねぇぞ」
両者、再び激突する
先に動いたのは垣根だ
能力を使って未元物質で盾を作る
叶は先ほどの剣でその盾に斬りかかる
しかし盾は消し飛ばなかった
それどころか変形すらしていない
「…原子崩しで消せねェ物質を作ったか」
「そこまで分かればもう分かるよな」
つまり、垣根に叶の攻撃は通じない
「でもさァ、もう少し周りに気を使った方がいィんじゃねェのか?」
叶は垣根の真横に空間移動した
垣根は釣られてそこを向く
「何が言いたい?」
叶は横に移動しながらフッと笑い
「お前の能力が狙われてるってこと」
と言い放った
刹那、垣根は首元に悪寒を感じた
何かがそこに触れた感覚があったからだ
しかしそこには何もいない
夜の静寂が広がるだけだった
しかし違和感があった
それは、頭のいいものが気づくこと
毎晩を空を見ていれば気付くことだった
―星の位置がズレて…!?
星の位置がズレる
それが示すものは、科学的に考えれば光学迷彩を使用しているか、あるいは
「正解だ、クソ野郎」
能力者が何らかの能力を使っているか
「クソッ、やられた!」
気付いた時には遅かった
垣根はその違和感の正体に蹴り飛ばされた
少年は、肺から空気が漏れるような感覚を味わいながら、背中の翼で姿勢制御を行った
そして元の場所へと向き直る
しかし、星のズレは元に戻っていた
「やりやがったな、『八人目』。差し詰め、偏光能力といったところか」
「そォだ。ある事件の時にたまたま触れる機会があったからなァ」
叶の声が垣根の耳に届く
しかし、その姿を垣根は確認することは出来なかった
偏光能力
かつて、黒子が幻想御手事件の捜査の時に保護した幻想御手の使用者の能力だ
涙子の応援要請を受けて警備員とともに駆け付けた時に複写していた
「どォする?これで超能力者の能力は五つ複写したぞ。これじゃ太刀打ちできないんじゃね?」
叶は複写したての能力を使い、垣根と同じ高度まで飛び上がった
「確かに、ここまで来ると色々な能力を併用されておしまいだろうな。それにあれをみろ」
垣根は自身の裏を親指で指差す
そこを、流れ星のようなものが流れていた
ただし、地上から空へ向けてだ
「どうやら、決着がついたようだ。あれを見る限り、一方通行の勝ちだろうな」
確かに、あれほどの出力で人間を飛ばそうなど出来るのは超能力者のみだろう
そして(叶は知らないことだが)第三位は猟犬部隊の別部隊を
第二位、『八人目』はそれぞれと対峙している
他の所在はわからないが、おそらくこの件には関わっていないだろう
ということは、だ
「悪いが、ここで仕事は終わりだ。俺への依頼は、一方通行と木原数多の決着が着くまで『八人目』を足止めしろ、だったからな」
「だが俺は逃がす気はないぞ」
叶は言いながらどこからともなく出てきた
口調は元に戻っていた
「悪いが今のお前には勝てる気しないんでね。潔く降参するわ」
垣根はそう言い、立ち去ろうとする
「あ、そうそう」
しかし立ち止まり、叶を向く
「いつか、お前は暗部に出向くことになると思うぜ、複写能力さん。そんときは、『スクール』までいっちょよろしく」
それだけ言い残し、垣根は翼を広げて立ち去っていった
「…暗部に…か」
叶が警戒体制を解除したのは、その数分後だった



結果だけ言うと、数多は死亡した
死体は見つからなかったが、奴の体が燃えながら空へ飛んで行くのを一方通行が確認していたからだ
その一方通行の話なのだが、一方通行が暗部組織、『グループ』に所属することとなった
これは本人から聞いた情報だ
街を破壊した分の代金を支払えと言われたようだ