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無未河 大智/TTjr
無未河 大智/TTjr
novelistID. 26082
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とある夢幻の複写能力<オールマイティ>

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自分の能力をひがむものの声
無能力者ゆえの苦悩
低レベルだからこその葛藤など
様々な人間の心情を聞いた
これは文字通りの意味だ
そして胎児は二人に攻撃を仕掛けてきた
二人とも間一髪のところで避ける
「ったく!」
美琴は電撃を飛ばした
そして電撃が当たった所が爆ぜた
しかし
「嘘だろオイ…」
その部分が同じく胎児のような手として修復された
そしてなおも攻撃を続けようとする
「クッソ!」
「まて御坂」
叶は片手で美琴を制止する
「ちょっと…!」
美琴は胎児の様子を見て叶の行為の意味を知った
―やはり、危害を加えなければ追ってこない…
「あいつは闇雲に暴れてるだけなの?」
「多分、そうだろうな」
そう言って叶が攻撃に入ろうとした瞬間、電話が鳴った
その電話に叶は出る
ディスプレイには「白井黒子」とあった
「どうした」
『今病院から連絡があったのですが…』
その説明を聞いて、叶はギョッとする
「どうしたの?」
「…幻想御手の副作用を受けた患者たちが、急に暴れだしたらしい」
それは文字通りの意味だった
患者たちは何か悪夢を見ているかのように暴れだし、全員同時に発作を起こしだしたのだ
「…原因は、胎児(アレ)だろうな」
そのころハイウェイ上の警備員は下に下りていた
そして同じように胎児を見つけ、近くにあるものが襲われては敵わんと
胎児に発砲を始めた
しかし思うように効果を発揮できずに無駄弾だけが増えていった
そして残っていた警備員たちはほとんどが倒れた
残った一人―鉄装綴里が胎児の伸ばした触手に襲われようとしていた
それを美琴は鉄板を飛ばし、鉄装を飛ばして救った
「何ぼやっとしてんのよ。死んでも知らないわよ」
鉄装は美琴に向けて反論した
大方民間人に対する説教みたいなもんだ
それを流していろいろ美琴は聞く
周辺住人のことなどのことを
鉄装によると周辺住人はいないらしい
しかし
「あの建物、何か分かる?」
美琴は鉄装の指さす先を見る
その先には円柱状の建物の屋根に半球状の屋根がついた建物があった
それはどこかで見たことがあった
「原子力実験炉」
「…マジ?」
「嘘…だろ?」
叶も同じところにいた
そして気を失っていた木山が目を覚ます
木山は胎児を見て高々と笑う
「すごいな…あんなバケモノだったとは…。学会で発表すれば表彰ものだ…」
そしてスカートの後ろに手を伸ばす
「もはやネットワークは私の手を離れ…あの子達を取り戻すことも、恢復させることもかなわないか」
拳銃を取り出し、こめかみに当てる
「おしまいだな」
それを見つけた飾利がそれを止めようと駆け寄る
飾利は木山を押し倒し、自殺を止めた
だが
「あれ…」
木山は伸びていた
その首元を見ると、自分にかかっていた手錠のチェーンが木山の首を押さえていた
「手錠つけてるの忘れてた…」



「虚数学区?」
飾利は木山に訊いた
「あれって都市伝説なんじゃ…」
「巷に流れる噂と実態は全く違ったわけだがね」
木山は飾利の手錠を外し、説明を続ける
「虚数学区とは、AIM拡散力場の集合体だったんだ。アレもおそらく原理は同じ、AIM拡散力場でできた…幻想猛獣とでも呼んでおこうか」
木山は仮説の説明を続ける
「幻想御手のネットワークによって束ねられた一万人のAIM拡散力場が触媒になって生まれ、学園都市のAIM拡散力場を取り込んで成長しようとしているのだろう」
「けど、そんなものに自我があるとは考えにくいけど、ネットワークの核だった先生の感情に影響されて暴走しているんだろうな」
どこからか叶が現れる
「…君も同じ仮説を…」
「まあ、高速演算は伊達じゃありませんよ」
「…どうすればあれを止められますか?」
「それを私に訊くのかい?」
飾利は乗り出して木山の顔を見据え、言う
「木山先生は、嘘はつきませんから」
木山はそれを聞いて、呆れた感じで飾利に言う
「…本当に、根拠も無く人を信用する人間が多くて困る」
そして訊く
「預けたものはまだ持ってるかい?あれは幻想御手のネットワークが生んだ怪物だ。ネットワークを破壊すれば止められるかもしれない」
飾利はポケットを探り、データチップを出す
「それは?」
「幻想御手の治療プログラムです」
「…よし、それ持って残ってる警備員の人間に…後は分かるな」
飾利はコクリと頷いて、走る
「で、どうするんですか、先生」
「あとは君たちの出番だろう。私にはもう能力は無い」
「そうですか」
「期待しているよ、『八人目』」
「やめてくださいよ、先生。…まあ、事実ですけどね」
叶はその場から消えた
「…彼は、どこまで優しい人間なのだろうな…。昨年まで何も知らされずに実験に参加し、そして放棄して風紀委員になった。研修も去年のうちに終わらせたらしいが…」
そこまで考えて木山は一つの答えを導き出す
「…罪滅ぼしのつもりか?天岡」
そのころ
「よお」
「アンタ!遅いじゃない!!」
美琴はなかなか苦戦しているようだ
「いやあ、悪ぃ悪ぃ。ちょっと色々あってな」
「まあ、いいわ」
美琴は先ほどと同じように電撃を浴びせる
攻撃は効いてはいるが、すぐに再生する
美琴は舌打ちを打つ
「なんだって、こんな…!」
「御坂、もう少しだけ押さえてくれ」
「なんか策でもあんの?」
「とりあえず、な」
美琴は少し黙り込み、攻撃を再開する
そして数分の後
何かが聞こえた
それは五感全てに訴えかけてくるような音だった
「これ…なに?」
「やったか、初春」
そのころ
街中のファミレスでは―
「はーーーー、プールかぁ」
金髪碧眼の少女がため息を漏らす
「結局さ、そんなもんできても私らには関係ないのよねー」
どうやらラジオから聞こえる情報に愚痴っているようだ
「何も好き好んで人手ごった返したとこ行くこと無いでしょ」
「プールのほうから情報が来ています…」
「というかどこ行ってもこの時期人がいることには超変わりないんですが」
同じテーブルに座る三人の少女は三者三様の返答をする
彼女たちは『アイテム』
学園都市の暗部組織にして、学園都市内の不穏分子の削除および抹消を目的とす
リーダーは麦野沈利
彼女は超能力者第4位の原子崩し
そして構成員はフレンダ=セイヴェルン、絹旗最愛、滝壺理后だ
彼女たちは今休業中
といっても特に仕事が無いだけだ
「そういや第三学区にプライベートプール借りっぱなしだったな。暇なら行くか?」
麦野が唐突ともいえるくらいに提案する
「ホントに?」
フレンダは即反応した
「わー麦野愛してる!」
「コラ、暑いんだからくっつくな」
ファミレス内とはいえ、季節は夏
そりゃくっついたら暑いに決まってる
『あ…えー、ここで番組の途中ですが臨時ニュース…』
そんな声がラジオから聞こえる
『あ、いえ、臨時のリクエストです』
「何だそりゃ」
少し怒り交じりに麦野が突っ込む
その音が聞こえた瞬間、俯いていた滝壺は顔を上げた
「…何か不思議な…曲?」
それは学園都市全体に流れていた
そして
この曲が流れてしばらくしたとき
幻想御手の副作用で植物状態になり、幻想猛獣の発現によって暴れていた患者たちの発作がおさまったという



―ワクチンソフトを学園都市中に流すことで、幻想御手のネットワークを破壊する