二次創作小説やBL小説が読める！投稿できる！二次小説投稿コミュニティ！

　花飾りの少女がうまくやれば、幻想猛獣の暴走を抑えることができるはずだ
そして木山は立ち上がり、生まれたときよりの何倍にも肥大化している胎児を見据える
―だがうまくいってもヤツは一万人の力場の塊
　人間にどうにかできる相手なのか…？
その胎児は原子力実験炉に向かって進行を続けていた
しかもその実験炉までぎりぎりの距離にいる
美琴と叶はそこで食い止めようとしていた
胎児が攻撃を加えてきた
それを美琴は避ける
だが
その先には胎児の触手があり、それに捕まる
「御坂！」
そして何本もの触手が絡み合った腕が襲い掛かる
それを美琴は電撃で焼き切る
―ミスった！
　すぐ復元するんじゃ、意味が無いじゃな…い？
その攻撃によって、胎児の腕は切断され、また再生するものと思われた
しかし
「再生してない…」
「ワクチンソフトが…効いてる！」
―幻想御手のアンインストールに成功した！
美琴は叶の言うことが理解できなかった
しかし
「なんかよくわかんないけど、チャンスみたいね」
美琴はそれをチャンスと受け取る
そしていまだ足に絡まる胎児の触手に手を伸ばし
そこから電流を流し込む
胎児の体表は焦げ、行動を停止した
それを見て美琴は終わったと感じた
しかし
「まだ終わっていない！」
木山の声が唐突に聞こえた
そして胎児から攻撃が来る
「ちょ…!?何であれくらってまだ動けんのよ！」
「あれはAIM拡散力場の塊だ。普通の生物の常識は通用しない…そんなとこだろうよ」
叶が手短に見解を述べる
「ああ、体表にいくらダメージを与えても本質には影響しないんだ」
それを体現するかのように胎児はまだ動けるようなそぶりを見せる
「そんなのどうしろって言うのよ!?」
「力場の塊を自立させている核のようなものがあるはずだ。それを破壊できれば…」
そこまで木山が言った刹那、唐突に声…いや、テレパシーのようなものが聞こえた
『ntst欲kgd』
美琴や叶、もちろん木山にも言っている意味は分からなかった
『kg苦s n憤kd dknr歎yjtnj w羨 ki遭dgnq g助sm』
聞いている限り、人外言語だと、叶は感じた
おそらく木山も美琴も同じように感じただろう
「…下がれ、巻き込まれるぞ」
「アンタ、いいとこ取りしようっての？」
「バカ言え、ちょっと見てろよ」
「…私は構わない。アレを生み出した責任がある。私はどうなっても…」
「アンタはよくても教え子はどうすんのよ」
「そうだぜ先生。仮に恢復してもそのときに先生がいなきゃ、あの子達が本当に救われたことにはならない」
「…あんなやり方しないなら、私も協力する。それとももう諦めるつもり？」
そして後ろの胎児が攻撃を加えようとする
それを容赦なく美琴は電撃ではじいた
「「それとアイツに巻き込まれるんじゃなくて、私(俺)が巻き込んじゃうって言ってんの(だ)よ」
美琴は電撃を飛ばす
それだけで美琴は膝を突く
しかしそれは誘電力場によってはじかれる
―私が使用したのと同じ…
　やはり彼女では相手に…
「ったく、生みの親と同じで面倒な事してくれるわね」
それでも美琴は諦めない
「でも、これならどう？」
美琴は先ほどよりも強力な電撃を放つ
木山はそれを見て驚愕する
―電撃は直撃していない…だが…
　強引にねじ込んだ電気抵抗の熱で体表が消し飛んでいく…
　私と戦ったときのあれは全力ではなかったのか!!
そして胎児が反応する
何かに障ったらしく、腕を振り下ろしてくる
それを美琴は避け切れなかった
「御坂！」
「大丈夫よ、これくらい」
「…おいおい、能力に集中しすぎてこれに気づけねェとか有り得ないンじゃないのか？」
叶の口調が少しおかしくなっている
「でもまァ、心配するな。俺が一気に片付けてやるからよォ!!!」
この口調は一方通行のものだ
しかし複写能力の定義には触れたものの人格的なものまでは複写しないとある
これはどういうことなのか
それは今は関係ない
叶は両手をめいっぱい広げ、その掌から胎児に向けて電撃を放つ
その攻撃に胎児はうめき声を上げて抵抗する
そして氷塊を生み出し、投げつけてくる
しかし
それは叶に当たると衝撃で砕けた
「…おいおい、俺をなめてンじゃねェよ。そんなもンじゃ、窒素装甲(オフェンスアーマー)は砕けねェ」
窒素装甲
暗部組織『アイテム』の構成員、絹旗最愛の能力だ
その能力の実態は「空気中の窒素を自在に操ることができる」だ
その力で窒素を操り、圧縮した窒素の塊を制御することにより、叶は装甲を作り出した
「…言ッてなかッたが、俺は他にも実験に招集されて、いろンな実験を見てきた。…中には、俺が被験者になるよォなやつもあッたがな」
そこで木山は気づく
―『暗闇の五月計画』…
「おっと木山せンせェ、余計なこと言っちゃダメだぜェ」
木山はそういいかけたが、それを叶は制止する
読心系の能力で読んだのだろう
そしてなおも攻撃を続ける
「おらっ」
叶は指をパチンと鳴らす
瞬間、その右手から炎が上がり、火炎放射器のように炎が飛んでいった
「まだまだァ!!」
今度は美琴がよく使う砂鉄の剣を作り出す
それで胎児に切りかかる
その攻撃によって左の腕と思しきものが消し飛んだ
「…AIM拡散力場の集合体…か。悪ィけど、『自分だけの現実』を他人に委ねるよォな奴らには、負ける気しねェわ」
叶はポケットから鉄球を取り出し、それをひょう、と宙へ放る
「こンなとこで苦しンでねェで、とっとと帰れよ」
鉄球が伸ばした叶の右手の人差し指の前に下りてきた
それを叶はでこピンの要領で幻想猛獣に向けて飛ばした
それは電気を帯び、超電磁砲となった
その弾道は幻想猛獣を貫き、その核を二つに割った
そして胎児の形をしたバケモノは消滅した
―幻想猛獣さえ寄せ付けない圧倒的な力…
　学園都市の能力者の頂点…
　これが、超能力者か…
「…はぁ…あぶねぇあぶねぇ」
叶はその場に座り込む
彼の口調は元に戻っていた
「…で、どうすんの？今の私たちにアンタを止める力は残ってないけど」
そして数秒後、残っていた警備員の応援要請を得たであろう警備員たちがぞろぞろと来た
「…いや、ネットワークを失った今、警備員から逃れる術は私には無いからな」
諦めたような口調で木山は言う
「だが、あの子達を諦めたわけじゃない。もう一度最初からやり直すさ」
叶と美琴は立ち上がり、木山を見つめる
「刑務所の中だろうと世界の果てだろうと、私の頭脳はここにあるのだから」
それを聞いて美琴は少し笑みを浮かべる
「ただし、今後も手段を選ぶつもりは無い。気に入らなければまた邪魔しに来たまえ」
「アンタねぇ…」
その言葉には流石に叶は苦笑せざるを得なかった
「しっかし、脳波のネットワークを構築するなんて、突拍子も無いアイデアをよく実行に移そうと思ったわね」
ふと気づいた美琴が木山に訊く
「…複数の脳を繋ぐ電磁的ネットワーク、学習装置を使って、整頓された脳構造…」
木山は淡々と続ける
「こられはすべて、君から得たものだ」
「は？」
美琴は聞いた意味が分からないらしい
「私そんな論文書いた覚えないわよ」
「そうじゃない。君も私と同じ―」
その先を聞いて美琴は、それを理解することはできなかった