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化け物と祓魔師

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化け物を統べる王は確かに存在する。正確には『していた』だが。
この時代にその存在がいないのもまた事実。
けれど、王を選ばないのではなく、選べない。
王を選ぶのは全ての吸血鬼、狼男、魔女ではなく、
それらの中の選定者が選ぶからだ。
選定者はその王によって選ばれた血筋によって決まる。
そして選定者は己の王に一生仕えるのが慣わしだった。

(この世界の規則で欠点なのは
選定者がいないと王が選べないと言うこと)

帝人は事務的にペンを走らせる。
内容は目で見ていれば入ってくるので覚える事はしない。
一度見た物は自分が忘れようとしない限り忘れないのだから。

(選定者の一族が事もあろうに粛正されていたなんて・・・)

帝人は眉を寄せながら、下唇を噛む。
選定者を司っていた三種の一族が、協会によって粛正されていた。
それを帝人が知ったのはこの協会に入ってから。
その時ばかりは愚かしい、と嘆いたものだ。

(選定者の一族を選ぶには途方もない時間が掛かるというのに・・・)

しかもその粛正内容も曖昧で、
単に反旗を翻しそうだったから、という安易な情報から。

(今はまだ良い。力のある者達は眠りについているはずだから)

だけどーーー。
帝人はため息を零すと、
最後の書類にサインをし終えペンを机の上に投げ出した。
背中を背もたれに預け、天井を睨み付ける。

(だけど、これからはどうなるか分からない・・・)

力のある化け物達は眠り、より長い時を生きるのだ。
だがしかし。その眠りからひとたび目覚めればどうなるか。
統治者のいない世界で、そんな者達がどうするかなど明白。

「・・・力のない者達が憐れでならないよ」

自我を失い狂ってしまった憐れな生き物たち。
今まで協会から下された仕事で殺してきた者達を思うと、
胸が締め付けられるように痛む。

(狂いたくて狂ったわけではなかろうに・・・)

力のない物は力のある物には逆らえない。
力のある物に、『襲え』と命じられれば襲うしかないのだ。
ただの道楽の玩具にされて、
泣きながら狂っていく者達を何度も見てきた。
終いには、己が洗脳されていることにさえ気がつかず、
今の思考こそが己のモノだと信じていた者もいた。

(憐れ過ぎる・・・)

早く王を、選定者を、何度そう思ってきたのだろう。
何度、助けて欲しいと願ったのだろう。
哀れめば哀れむほど、帝人の心は悲鳴を上げる。

「助けてあげたいのに・・・」

それが出来ない我が身が悔しくてたまらない。

「どうして、眠りにつかなければいけなかったのかな・・・」

帝人の青い瞳が悲しみでぐらりと揺れた。


作品名:化け物と祓魔師 作家名:霜月(しー)