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コバラスキマロ

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 その冷たい予感で煮立っていた頭の中が一旦静まる。首を上げて視界を広げ、栄口以外のものを目へ入れると、いかに自分がガツガツしていたのかよくわかった。
 栄口は濡れた口元を半分だけ開き、腹と胸をさらけ出した状態で眠っている。横たわるふとんの上で、オレが手を置いたところだけが浅く窪んでいて、なんとなく『つまみ食い』という言葉が浮かぶ。行儀なんて考えないで、本能のまま得たいものを得ていた。
 もしかしてこのまま続けていたら、取り返しのつかないことになっていたんじゃないか?
 流れる血が一気に冷えた気がした。ここでやめておこう。オレはまた全部ぶち壊しにするところだった。栄口の身体は名残惜しいし、もっと触っていたいけど、いつかまたの機会まで先送りにしておこう。
 そのときにはきっと、今よりいろんなことを許してもらっているはずだ。今回みたいに寝込みを襲ったりしなくても、かなり自然な流れで二人ベッドの中に居られるはず。たぶん。自信はないけど。
 オレはやっぱり意識のある栄口とこういうことがしたい。泣いてても怒ってても、あらゆる罵声を浴びせてきてもいいから、やっぱり反応が欲しい。基本二人でするものじゃないのか、こういうのって。
 でも名残惜しいのには変わりないので、最後の最後にキスだけすることにした。閉じた目蓋を間近で見て、あごの角度を少し変えて唇をつけた。
 これをし終わったら、捲くったシャツ類を即行元に戻して、平然とテレビでも見ていよう。それかすぐに風呂へ入ってしまうのがいいかもしれない。いろんな淀んだものを全部洗い流してしまいたい。
 ふ、と触れただけの唇を離すと、皮膚の上にあった淡い熱が消えた。こういうキスなら稀に許してもらえる。かなり周到な雰囲気作りをした上だけど。でもさっきみたいな深いのは、ホント、いつになったらできるのかな……って諦めがちになってしまう。もっと頻繁に会えたら距離が縮まるのも早いだろうに、今も、多分これからも、とても実現不可能で気が滅入る。
 栄口の顔を挟み、立てたオレの腕が硬く伸びている。
 しばらく我慢しますからこれだけお願いします。
 心の声に弾かれて、もう一度顔を近づける。あと数ミリというところで生じた迷いを振り払い、目を閉じた。
 唇の隙間からそっと舌を挿し込むと、さっき入れたときと変わらない温度がそこにある。ぬるい。だいたいオレと同じか、少し熱いくらいなのに、なんだかどんどん溶けてくる。それが何なのかわからないけれど、日なたに落としたアイスクリームみたいに、元の形をどろどろとだらしなく崩していく。
 いっそこのままぜんぶ液体になってしまいたい。もっと欲しくて動かすと、荒い動作に栄口の舌がぬるりと滑って、弄るオレのを撫でた。どろり。かなり溶けた感じがする。

作品名:コバラスキマロ 作家名:さはら