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『ボンジュールヒーロー』
 PDAがコール音を鳴らし、その通信を繋げると相手はアニエスさんだった。
「事件か、アニエス」
『ええ、現金輸送車が襲われたわ。犯人は今逃走中よ』
 僕が持つ書類の大部分の処理は終わり、虎徹さんも結局夕方過ぎからのヒーローTVの生中継での引退宣言を残すだけでいたそんな時だった。
「他の奴らは?」
『あんたたち以外はトレーニングセンターに集まってたみたいだったから、連絡済、装甲車両相手だけど、出れるの?二人とも。特にタイガー』
「馬鹿にするんじゃねーよ、ヒーロー舐めんな」
 アニエスさんの声に、こんにゃろう、と虎徹さんが声を上げるのを聞いて僕は思わず苦笑する。彼女のその言い草がそれでも虎徹さんの能力減退に対することの指摘というのを分かりながら、サポートは僕がいますから問題ないです、と声を上げた。
『そう、だったら、場所の地図を送るわ、中継車両も回るからそっちについては……』
「そちらも、僕で把握します」
『OK、じゃあ、頼むわよ、タイガー&バーナビー』
 淡々と声を上げれば、虎徹さんは大丈夫なのか、バニーと僕を見る。
「貴方こそ、能力発動時間が短いんですから、少しは考えてくださいよ」
僕がそう声を上げれば、虎徹さんは苦笑を浮かべてから、そっか、と声を上げた。
 一度はアニエスさんからの通信が切れたPDAが再度着信音を鳴らす。
「はい、こちらバーナビー」
 通信の着信を確認して声を上げれば、われらのチーフメカニックが急げ、とハイテンションな声を上げて、事件なんだろう!と叫び声を上げた。
『時間と犯人は待ってくれないんだからな、急げ!』
 急かすその声に、僕と虎徹さんは返事を上げると、もう準備が出来ているんだろうなと、変身ルームに急ぐのだった。

     *

 ここは一つ、虎徹さんの盛大な叫び声をもって結論だとさせてもらう。なぜなら、僕も同じ気持ちだからだ。
「ドッキリって、ふざけてるだろぉぉぉ!」
 ええ、ご尤もです、本当にアニエスさんには騙されました!
 引退発表を終えて、更衣室に戻り、アンダースーツ姿で近くのソファーに腰を下ろすと、盛大に虎徹さんは大きくため息を吐き出した。
 事の中心人物は虎徹さんだけれども、彼の相棒である僕も同じく当事者だ(二人揃って被害者という意味で、だ)。
 事件だと言われ、バイクで向かった先には確かに連絡にあった通りの装甲車両があった。小回りが利くバイクだという利便性を生かし、僕とワイルドタイガーはバイクを分離させ、ロンリーチェイサーで装甲車両のマシンガン攻撃を左右に受け流す形を取って、僕が先に能力を発動させ、そのまま、チェイサーで近づけるギリギリの場所まで走行する車両に近づくと。そのまま僕はハンドレットパワーを使って車を蹴倒し強制的に転倒させる。そして、上空で旋回を続けるヒーローTVの中継カメラを意識しつつ、犯人確保にワイルドタイガーが回る。転倒した車両の入り口をこじ開けて、おとなしくしろ、と声が上がったところで、大きく響いたのは銃声だった。
 ぱん、という音にはっとして、そちらを向けば、ワイルドタイガーは目の前で弾けた発砲音に硬直をしているようだった。ヒーロースーツを着ている以上、余程の事で無い限り銃弾に関しては無意味だったが、その音に対しての彼の動きが驚きでしかなく、僕自身もそんなワイルドタイガーの様子に動きを止める。
「おい、嘘だろ……」
 小さく漏れるそのタイガーの声に僕は、何がどうなったんだ!と混乱する頭で居れば、マジックミラーになっている装甲車両のひっくり返った運転席から出てきたのは、ロックバイソンだった。
「どういう、ことですか……」
 まさか、彼が犯罪?とそんな事を思っていれば、空から駆けつけたスカイハイが驚いただろう?と声を上げた。
 その背中には隠しきれないプラカードが見えていて、僕は思わず頭を抱えた。
そして、そんな中ヒーロースーツに仕込まれたPDAが呼び出し音を鳴らす。
『はぁい、タイガー&バーナビー?』
 くすり、とルージュの唇が弧を描く様子に、僕はどうしたらいいのか解らないで居れば、先に声を上げたのはワイルドタイガーだった。
「何が、はぁい、だッ!どう言う事だよ!」
『風の噂で聞いたのよ、ヒーローに成り立てだったバーナビーの誕生日に、相方ワイルドタイガーがサプライズを仕掛けたって話をね』
「風の噂って、スカイハイか!」
『ご名答!』
 敏腕プロデューサーのその声に僕は、あぁ、と声を上げた。なんだろう、この嵌められた気持ち。どこに憤りをぶつければ良いんだろう、なんていうそんな気持ち。頭に手をあてて、くらくらとするそのサプライズという声に漏れるのはため息だけだ。
「どうしたの、バーナビーさん」
 そんな僕に掛かった声はドラゴンキッドの声だった。振り返れば、ドラゴンキッドと共に、折紙サイクロンの姿もそこにはある。
「……もしかして、皆さんグルでのサプライズですか?」
 自分自身の声がどうしようもなく、気の抜けた声になっているのを自覚しつつ二人にそう声をかければ、案の定こくり、とその二つの首は縦に振られて、もう一度あああ、と僕は声を上げた。そして、折紙先輩が僕に近づくと小さく耳打ちをしてきた。
「これ、全部音声回線開いているらしいんで」
「……そんな話聞いていません」
「まぁ、どっきりですから」
 笑う折紙先輩に僕はもう、呆れたと小さく洩らせば、奥の転倒した車両の横では虎徹さんがPDA先のプロデューサーと口論をしている。そんなことすら、もうなんだか呆れて声が出ない。
 さて、この場をどうやって撤収させるべきか、と思いつつ居れば、スーツ内蔵の専用回線が行き成り開いた。
『おい、バニー行くぞ』
「どこに、です」
『てか、こういうときは派手に暴れるって相場が決まってるんだよ!』
 勿論専用回線とは言え、その声は勿論アニエスさんにも聞いているだろう。フルオープンの専用回線は外に拾われないようにするアポロンメディアのメカニックの誇る専用回線専用ジャミングシステム(と言う名の、他に漏れないようにする為の改良回線システム)の立ち上げが成されていない。
『相手はあのフリップもって空中に浮かんでる、元KOHだ!』
 そう叫んだ虎徹さんの声に、僕はもう自棄だと言わんばかりに、お供しますよ先輩、と声を上げれば、よしきたバニー!と虎徹さんのどこか自暴的な叫び声が上がる。
「こんにゃろう、スカイハイッ!」
 盛大に大声を上げつつ、ひっくり返っていたロックバイソンを立たせると、彼を踏み台の様にしてワイルドタイガーの足が宙を掻く。
「援護するわ、ワイルドタイガー!」
「拙者も、加勢するでござる!バーナビー殿!」
 空中を掻くワイルドタイガーの足元には、ブルーローズの放つフリージングリキッドガンが氷の足場を作る。目配せをした折紙先輩は背中を丸くしてその背中を掛けて飛べ、と言わんばかりだ。
 まわりがそこまでお膳立てしてくれているというのに、やらないなんて男が廃るぞ!なんていう虎徹さんの声が聞こえた気がして、思わず僕は笑うと、折紙サイクロンのその背中を駆け上がりながら、覚悟してくださいよ、スカイハイさん!と大声を上げた。
作品名:Average value is a top! 作家名:いちき