Average value is a top!
「え、ちょっと!ワイルド君にバーナビー君!」
驚いたのはスカイハイさんだったが、周りのヒーローは寄って集って、笑う僕とオジサンの味方だ。開きっぱなしの回線の奥で、アニエスさんの声が聞こえる。
「ち、ちょっと!まってくれ!これはアレだよ!ドッキリだ!」
スカイハイさんが背中の大きなフリップを出したところで、虎徹さんの行くぞ、という声が再び聞こえた。
ええ、判ってます。
こくり、とうなずいて展開するのはグッドラックモードだ。
「もう一つおまけよ!」
空中で二発のフリージングリキッドガンが発射される音が聞こえて足場が更に増える。更に高く、スカイハイさんの元に僕らは駆け上がる。
《タイガーアンド バーナビー・オーバーキル》
電子音声と共に、攻撃はスカイハイさんの持つフリップに炸裂し、演出の為の光の洪水がキラキラと作られていた氷の足場に反射した。
そんな中、実況のマリオの声が上空のヘリから響く
『流石、タイガー&バーナビー!流石ヒーロー界のスーパーコンビです!』
そんな声に、虎徹さんは中継カメラを睨みつけると、指を突きつけて声を上げた。
「些細な悪戯も度が過ぎれば、犯罪だ!良い子の皆は妙な大人の真似すんなよ!」
その声に、僕も同感ですよ!と声を上げれば、盛大な拍手がスカイハイ以外のヒーローから送られる。だが、虎徹さんはあーもう!と更に声を上げた。
「共犯者も同罪だってーの!」
その声に思わず僕は笑い声を上げていると、小さくアニエスさんの声が届く。
『中継から過去映像に切り替えるから、スタジオに走りなさい、タイガー&バーナビー』
言われた矢先に、アポロンメディアのトランスポーターが到着していて、乗車口にはチーフメカニックが、乗れと小さくその口を動かしていた。
「うわぁ、もしかして斉藤さんもグルかよ……」
呆れたような虎徹さんの声に僕は笑うと、タイガーさん、と声を上げた。
「まぁ、愛されてるってことじゃないですか?」
思わずくすくすと笑いつつ、これから急いでスタジオ入りして、会見ですよ、と告げれば、気の抜けた虎徹さんの声が、あぁ……そうだねと小さな声が届いた。
作品名:Average value is a top! 作家名:いちき