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たった独りでこの時代を生きている、家の事は深くは聞けずじまい。
しばらくして仁王はひょこひょことした足取りで帰ってきた。
「あの老人は」
「あん人は国一さんちゅーんじゃ、どっかの御偉いさんらしいが詳しい事は知らん。」
「あんな老人ともその・・・するのか?」
「せんよ、あん人はおしゃべりするだけでいいんじゃ。孫が真面目で冗談言える感じじゃないんじゃと。」
「ほれ」
俺は開かれた仁王の手の中を見てびっくりした、あんな立ち話でこれだけの金額。
「あん人みたいなのをあたりっちゅーんかな。」
「あ、ああ。なんとなく解ったぞ。」
それじゃあ、行くかの。と言われたその時だった。
「よー、テメエ等。」
「跡部・・・・」
仁王はいつものゆるい表情を崩してその男から一歩後ずさった。
「詐欺師じゃねえか。」
「この男は・・・?」
「跡部財閥の独り息子じゃ、我が儘し放題でこの変でも有名なんよ」
数名の厳つい男をひきつれ現われたその男は仁王の腕を掴んで離そうとしなかった。仁王は俺にさっさと行けと言う目配せをするが俺はすきをみてあいつから仁王を助けようと試みた。
しかし究竟な男に阻まれ、跡部と呼ばれるその男までには行き着く事は無く羽交い締めにされた状態になった。
「ばかー」
仁王は呆れたのか首をたれてがくっと肩を落とした。俺は着物がはだけようと関係なく羽交い締めにされたその場でもがいた。しかしびくともしない、剣道を習っていたもののやはりここまで力で押さえつけられてしまえばそんなもの関係ない。自分の無力さに落胆する、その時だ。
跡部はつかつかと近づいて俺の顎に手をかけた。掴まれた顔をじっと見つめられ俺はただにらみ返す事しかできない。
「なんだ」
「お前、真田か?」
「何故俺の名前を知っている。」
「仁王!!!また詐欺か?真田っていやお前ら仁王を潰した家じゃねえか。なあ!」
「な・・・何」
「知らねえのか、お前の家は事業の歯車に仁王をつかって挙げ句に捨てたんだぜ」
俺は信じられないと仁王を見ると仁王は下をむいてこちらを一項に見ようとしなかった。
俺は仁王の事情も知ろうとせずに色々な事をのうのう教えてもらっていたのか。仁王はどんな気持ちだったのか、考えるだけで頭は真っ白になっていった。
仁王、そう呼ぶと仁王は血相をかえて跡部の腕をふり払い俺の前に立ちはだかった。
「俺の家の事は関係ないき、俺はただたんに真田が気に入ったからこうしてるんじゃ。」
「何いってんだてめぇ」
「第一、それは真田の親がした事じゃ。俺や真田には関係ない。」
仁王は羽交い締めにされてる俺をひっぱって助けようとしている。
「仁王・・・」
「そんな顔すんな、家の事なんか関係ないんじゃ。」
やっとの思いで究竟な男の腕から逃れられる。跡部は仁王を睨みつけ面白くないといったように鼻で笑った。
「それにしても真田の息子がこんな事をやってるとはな」
「お前には・・・関係なかろう。」
「ああ、ねーな。だが理由は知りたい。」
「柳に復讐だ、その為には金がいる。」
仁王の前で、復讐だのなんだのと話す事は心底無関心だとは思ったが、柳と言う名を思い出すだけで全身の血が沸き立ち怒りに支配されていく感覚。俺はまるで跡部にぶつけるように「潰してやる」と地を這うような声で吐き捨てた。
「ふーん、気に入った。」
「な・・・何?」
「ぼんぼんの家の息子が復讐ねー、その為にならなんでもやるってか。」
跡部は俺の格好をじっと舐め回すように見たあと俺たちを囲む男たちを下がらせた。
一枚紙を渡された俺はただ吃驚する事しか出来ずにいる。
「何か困った事があったら俺を訪ねろ。その時はもっとましな着物をきてくるんだな」
そう吐き捨てて颯爽と跡部は色町の道の真ん中を堂々と歩き出て行った。
「変な男だ」
「にしてもあいつに気に入られるなんてたいしたもんぜよ、真田」
「・・・・ああ」
仁王とはまだ、話をしなければならんだろう。後ろめたさを残して俺たちはその日色町を出た。


「仁王」
「なんじゃ。」
跡部との一件の後、二人でゆらゆらと歩いている、いつもなら気にならない沈黙が今日は気まずい。俺はどうにかこの沈黙を破ろうと声をかけた、しかしその後の言葉が見つからない。
「さっきの事なのだが・・・」
「あんな、さっきもいったじゃろ。」
「しかし!」
「しつこいんは嫌いなんじゃが・・・」
俺はじっとにらまれて下を向く事しかできなかった。
仁王はこう言う男だ、昔の事に干渉してくるなという無言の圧迫もこうなる事が解っていたからだろうか。俺はますます居心地が悪くなった。
俺が柳を恨むように、仁王は真田を恨むのが当然。ましてこいつは本当に独りきり。そんな男に懐いて世話を焼かせてしまった自分に腹が立つ。
ここで、腹を切りたい気分だ。
「真田、俺はお前の事、仇だって解ってて近づいたわけじゃないぜよ。それにもともと俺は分家で、家族とは折り合いも悪かった、だからあんな家、つぶれてもなんも痛くないんじゃ。」
「しかし・・・」
俺は仁王をまっすぐ見る事ができなかった。
「そんな気を落としなさんなって。俺はお前の事が好きじゃ。」
「仁王・・・」
そっと抱き寄せられた俺は掌に力を込めた。






四、






日々の忙しさが祟ってか、兄は風邪を拗らせて寝込んでいる。今日は街には出られないかもしれないと思い仁王が来るのを暫く待つ事にした。
兄は金がかかるからと医者は呼ばなくていいと言うがどうも咳が酷く顔は青い。
ここの所は男と寝るばかりでいい情報もない、元々すぐに柳に近づけるとは思いもしなかったが、こうも途方もない事だろうか。
柳とは近い存在であったにも関わらず、こんなにも情報がない自分の手元に嫌気がしそうだ。
「真田!!!!」
「は、早いな。どうしたんだ仁王。」
「弦、お友達か?」
「あ、はい。」
兄の氷枕をとりかえていると血相を変えた仁王がばたばたと走って泥のついたままの足で家に上がってきた。俺は一喝しようと仁王をにらみながらもその息をあげている仁王の慌てぶりに中身がただの水になった枕を手に驚くだけだった。
「ちょ、ちょっとこっちきんしゃい。」
「・・・・」
「いいよ弦、いっておいで。」
兄はそう言って俺から枕を奪った。ここに置いておけばいいと背中をぽんと叩かれてしまう。
優しい兄の笑顔に気を抜き「はい」と言ってその場を離れる。
「今日、柳生と柳のもんが色町にきよるっちゅー話を聞いたんじゃ。」
「何!!!」
憎たらしい柳と言う名に過剰に反応し、俺は仁王の両肩を思い切り掴んだ。
「御偉いさん二人が色町にこぞって現れるなんぞ神妙な話じゃが。」
「しかし・・・・兄があの状態でな・・・・」
「そんなもん、俺にまかしんしゃい。ここに人をやるぜよ。」
「な・・・そんな事まで」
「いいき。ここまできて逃がすわけにはいかんじゃろうて」
仁王はへらっと笑いながら俺の肩を掴んだ。何から何まですまないと頭を下げるとパシンと頭を叩かれた。
作品名: 作家名:Rg