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ルック・湊(ルク主)

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料理



「料理対決最近ないしね、ちょっと腕がなまるから、ね。」

そう言って湊はニッコリした。
ちなみに料理対決とはこの城の名物ともなっている、名前の通り、料理の対決である。同盟軍のレストランのコックであるハイ・ヨーにたまになぜかどこかの料理人が料理勝負を挑んでくるのである。
そして仲間内からランダムで4人、審査員が選ばれ、前菜・メイン・デザートの3品で対決するのである。
湊は毎回、ハイ・ヨーの助手として参加している。

「だからと言って、何も無理にしなくたっていいだろ・・・。」

ルックが呆れたように呟く。

「無理にじゃないもん。ただ単に僕が料理ふるまうだけだもん。対決相手も見つくろってきてないじゃん。人数だってむりやり4人そろえてないでしょ?3人じゃん。」
「そういえばそうだね?俺も1度だけあの対決見た事あるけど。でもまぁ、いいじゃない。湊の料理でしょ?絶対美味しいの分かってるじゃない。」

傍で見ていた詩遠がニッコリと言った。

「・・・普通だったらね・・・。」
「ああ。このメンツだけに、なんか含むところがありそうだよな?」
「・・・。」

ルック、シーナが言った。横でクライブは黙っている。

「やだなぁ、皆。考えすぎだよ。じゃあ、作ってもってくるから、食べてね!楽しみだなーっ。」

湊がものすごい、良い笑顔で言ってから、厨房に入っていった。
なお、今日はレストランが休みの為、軍主の権限で貸し切り状態にしてあるらしい。そして湊がそれほど楽しみにしている理由。
普段の料理対決では作れないけども気になっていたレシピを作りたいらしい。まったくもって不遜な気、しか、しない。

「メンツ?何かお前らに、意味、あるの?」

料理対決をよく知っている者ならこの三人を見ただけで即分かったであろう。
大勢仲間が入る中で、この三人達は、判定パターン「なんでもマズイ」。
他にも「味オンチ」などはいるが、「なんでもマズイ」という、料理人にとってウザぃ以外の何モノでもない判定しか出来ない輩。それがこの三人であった。他にはメイザースとミクミクもそうなのだが、本人達にとって幸いなのか、今回はスルーされたようだ。
(ちなみに「味オンチ」は、ナナミを筆頭に、他にはカボチャ、ゲンゲン、からくり丸、シド、ビッキー、ペシュメルガという、なんというか、ああ、なるほどね・・・と言いたくなるようなメンツ。噂では某クラーケン一家もそうらしいが。)

「・・・うーん・・・。あ、でもルックが呼ばれてんじゃん。湊がルックに酷い事するとは思えないけど・・・?」

詩遠が言った。

「・・・食いモノの恨みは怖いらしいからね・・・とくに湊にとって。あと、こないだ僕はどうやら湊を怒らせたみたいだから・・・。」
「え、何したんだよ、お前?」

シーナが聞く。

「いや・・・別に・・・。ただちょっと面白い本があって・・・目を離す事が出来なくてずっと部屋で読んでたら、傍にいた湊がすねた。」
「んだよ!ノロケかよ!!」

シーナが速攻で突っ込んだ。

「違っ!いや、なんていうか、えっと、ヤキモチとか全然妬かない子だったから、こないだ“ヤキモチ、妬けばいい”的な事言ったんだけど・・・そうしたらちょっと妬いてくれるようになったというか・・・。」
「え、良かったじゃない?」
「・・・物質に対して・・・。」
「「・・・。」」

どうにも人に対してヤキモチを妬くという感情はやはり持ち合わせていないらしい。
ていうか物質に対してヤキモチって、何だよ・・・と、詩遠とシーナは内心突っ込む。

「ま、まあそれはどうでもいいんだよ!とりあえず、だから僕がいるからってあなどれないって事。」
「うわぁ、最悪じゃん。ちょ、クライブも黙ってねぇで、どうにか考えろよ。・・・助かる方法・・・。」

シーナが今まで空気のようになっていたクライブに向かって言った。

「・・・いや・・・別に俺は・・・。」
「なんでそう、色んな事にたいして無反応なんだよ!」
「おまたせぇー!」

その時湊がニコニコと料理を持ってやってきた。

「・・・これ、何。」
「やだなぁ、前菜達だよ!!」
「なんでそんなに種類あるんだよ!」
「えー?だって作りたいものたくさんあるんだもん。これでも絞ったんだからね!ルックうるさい。大人しく食べなさい!」
「っ!!」

食べなさい、と言った時の湊はルックに向けて、可愛らしくメッ、と指を出して言ってのけた。
それだけで黙るルック。相当アレである。
そして目の前にある料理はといえば。

まず「黒いポタージュ」
ちょ、あの、これ、30%の確率で「パニック」ステータスになるぅ!!シーナが青ざめながら思った。
ルックももちろん知っているだろう。クライブは知ってか知らずか、だが2人とも大人しく飲む。
え?マジで?ちょ、本気?俺も飲まないといけない感じ!?
シーナ、既に飲んでもないのにパニックに陥りそうになっていた。
幸い3人ともバッドステータスにはならず。

次に「ぎょにくドーナツ」
・・・もはや、何これ、な世界。え、ほんと、これ、何で出来てるの!?
見た目はドーナツ中身は魚肉!・・・なんていうどこかの探偵少年風な感じで言ってみても、気は晴れない。ほんと誰だよこんなレシピ考えたの!!
とりあえずがんばって口にする。・・・やはりというか何というか、魚くさい・・・。

そして「マイマイ??」・・・。
最早、ありえない。ていうか料理名に「??」とついている時点でありえない。どう考えても貝料理とかいう次元じゃねぇし!
さすがのクライブもかなり躊躇していた。
となりで見ていた詩遠も少し苦笑している。ていうかその穏やかな反応は、今これを目の前にして動揺しているこちら側にすればいらだたしい事この上ないが。
三人はなんとかがんばって口にした。
運が最悪なルックが青ざめる。

「!?」

何やら食べると、こちらも30%の割合でなる、特殊ステータスが当たってしまった様子。とりあえず詩遠がすかさず「優しさのしずく」と呟き、大事にはいたらなかったが。

“・・・ていうか、何だってこいつら、大人しくまじめに全部食べるんだろうね?どんだけ湊が好きなんだよ。もしくは弱味でも握られた?”

詩遠は頬づえをつきながら何気にそんな事を考えていた。
ここに集う仲間達。何気に皆、まじめ。料理対決の時でも、どんな用事があろうと審査員として呼ばれたら、誰もが、そう、あの軍師シュウですら、まじめに出席していた。
いちおう忘れられているかもしれないので言っておくが、今、戦時中。

そして今度はメインが持ってこられた。
まずは「赤カリー」。

「って、それ、魔法!!ちょ、爆発する!爆発するから!!」

ルックが慌てたように言う。シーナとクライブも固まっている。
赤カリーは威力は小さいものの、敵全体にダメージを与えられる。

「えー?でも食べられるもん。」

湊にそう言われ、またもや三人はしぶしぶ口にする。ほんと、まじめだよね?と詩遠は感心したようにその様子を見ていた。

「「「案外・・・いけた・・・。」」」

爆発を恐れながら食べたからか、三人がそんな事をポツリ、と漏らす。湊はニッコリした。
そして次。「闇なべ」
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ