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ルック・湊(ルク主)

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「「「・・・」」」

なぜか今、火にかかっていないというのに、その鍋はボコリ、ボコリと泡が次から次に沸いてきている。
色は闇なべ、にふさわしく、なんともいえない、いや、ドドメ色とでも表現すべきような色合いをしていた。
そしてところどころで何かの足らしきものが浮かんでは消えている。
三人は完全に固まった。詩遠も、“うわぁ”と思いながらその様子を見ている。

「これ、一番作ってみたかったんだぁ!・・・?どうしたの・・・?・・・食べて、くれない、の・・・?」

首を傾げ、切なげに言う湊。

「あああああああもう!!」

何かをふっきったのか、ルックがそう叫んで口に、した。シーナとクライブも決心したように手をつける。

「・・・このスープは何をいれたらこんな色になるんだ・・・。」
「・・・不思議な、味が、する・・・。」
「ちょ、おい、やべぇ、この肉、意外にうまい・・・。」

ルック、クライブ、シーナがそれぞれ呟く。

「じゃあ、最後にデザート、持ってくんね!」

そのセリフを聞いたとたん、なんとか乗り越えた、と思った三人は固まる。

「・・・?どうしたんだ?闇なべすら乗り越えたお前らが、今さら何固まる必要が?」

詩遠が不思議そうに聞いた。

「デザート・・・、と聞いて・・・今までの流れ考えたら・・・」
「・・・ああ。」
「間違いなく「ナナミアイス」か「ナナミケーキ」だろ!?」

ルック、クライブ、シーナの意見は一致しているようだ。

「・・・え?」
「・・・レシピに間違いなく、存在するんだよ!あああ、さすがにアレは誰もが無理だろう!?ほんと何をどうしたらああなるんだ!!」
「・・・っく・・・。」
「マジむり!ていうかあの毒々しいまでの赤色もさることながら、あの塩辛さや恐るべき破壊力はもはや兵器だろ!?」

もちろん誰もがナナミは大好きだった。
今でも目に笑顔が浮かぶ。なつかしい。
だが、料理は、別。

詩遠までつられて真っ青になっている中、またもや湊が「お待たせー!」とにこやかに持ってきた。どうやら1種類だけの様子。
恐る恐るそれを見る、と。
普通に、なんの変哲もない、アイスクリームだった。
ルックは何気にアイスをスプーンで割って崩してみる。もしや中からデロリ、と出てくるのでは・・・?などと考えながら。そして湊に「ルック!食べ物で遊んじゃだめ!」と怒られていた。
それでもなお、まだ少し恐る恐る、三人は口にする。

「「「・・・うまい・・・。」」」

そのセリフを聞いて、湊はあのとてつもなく愛らしい笑顔になった。


後で詩遠が湊に聞いてみた。

「え?ああ。あの人らってほんといっつも“なんでもマズイ”なんですよ。ほんと失礼!だからね、美味しいって思って欲しかったんですよー。」
「え、じゃあ、前菜とメイン、なんでああも・・・?そして最後にまとも、とか・・・?」
「やだなあ、詩遠さん。心理戦ですよー。ああもスリリングな思いしながら食べてたら、意外に美味しいって思うものでしょ?あと、最後には絶対ナナミ料理がくると思わせておいてのまさかのアイス。絶対美味しいって思うと思ったんですよー。」

詩遠は笑みを浮かべたまま、内心“うわぁ”と思った。さすが軍師シュウのもとでやってきただけある。そしてますます最高だよね、この子。

「あ、でも。クライブは知らないけど、ルックもシーナも店で出てくる料理はアレだけど、あえて君が作った料理なら美味しいって思ってたじゃない?」
「そうですねぇ。ルックなんて、作る料理も凄く美味しいのにね!だのになぜか2人とも、普通に出てくる料理は“なんでもマズイ”なんですよね。間違いなく、完全に、偏食、ですよね!ホントにもう。」

偏食は治さないと大人になったら恥ずかしいじゃないですか、と目の前の愛らしい子供はまたニッコリして言ってのけた。

「クライブはまぁ、もう取り返しのつかない大人ですけどね、でもまだ間に合えば、と。あはは。ちなみにメイザースさんはもうほんといいお年だし。ていうか、あの人、美味しくてもマズイ、いいそうだし。ミクミクはまぁ、うん、いいかな、と。」

色んな意味で敵わないね。詩遠はニッコリ笑いながらそう思った。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ