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ルック・湊(ルク主)

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最後



北にはハルモニア神聖国があり、いまだデュナンの土地は平穏ではない。かつて都市同盟はお互いが信用できず、ルカ・ブライトにより打ち破られた。この地には大きな一つの国が必要だ。そこで、ここに国をうちたて、湊にそのリーダーとなってもらいたい。
各都市同盟の市長が集まり、湊にそう言った。
既にシュウの取り持ちによって各都市の間で合意が取られている、と。

「・・・ありがとう・・・。こんな僕をそこまで・・・。でも、答えは・・・少し、待ってもらえますか・・・?」
「・・・もちろんです。ただ・・・いえ。お待ちしております。」

シュウがそう答えた。
そして湊は都市同盟の各主要人物が集まっている中、広間を出て行った。
部屋を出ると腐れ縁の2人が立っていた。

「よぉ、湊。どこに行く気だい?・・・湊・・・お前には大きな力がある。その右手に宿っている紋章のことなんかじゃない。多くの者の想いをその身に受けている。だから、お前は務めを果たさなくちゃ、いけないんだ。・・・この戦いで・・・死んでいった多くの人の為にも。」

フリックが言った。湊は少し俯いたまま黙っている。そんなフリックにビクトールが言った。

「行かせてやんな・・・フリック。必要なんだよ・・・それが・・・。・・・でもな、湊・・・。忘れるなよ。お前には帰る家があるって事を・・・。」

しばらくの間の後、湊は顔をあげ、フリックとビクトールに微笑んだ。

「・・・ごめんなさい。僕は・・・どうしても行かなくてはいけないとこがあるんだ。そこに行かないと・・・僕は・・・。・・・帰る、家、か。えへへ。・・・ありがとう。」

そして湊が城の門まで出ると、ルックが立っていた。

「ルック・・・。いないなーって思ったら、そこにいたんだ?」
「・・・また一人で出歩く気かい?ほんと君はいつになったら少数人数で出かける事を止めるんだろうね?」
「あはは。・・・うん。・・・でも・・・」
「今回だけだからね。一人で出歩くの、見逃すのは。」
「・・・ルック。・・・うん。・・・それって・・・次があるって、事だよ、ね?僕・・・またルックと会えるって、事だよ、ね?ルックは・・・どこにも行かないって事、だよ、ね?」
「・・・ちゃんと、お帰りって、言わせてくれるんだろう?」

すると湊はポロリ、と一粒の涙を落してから、あのルックが愛してやまない笑顔を見せた。

「行ってきます!」
「・・・行ってらっしゃい。」

湊が行ってしまうと、詩遠が出てきた。

「良いのかい?一人で行かせて?」
「・・・仕方ないだろ。あの子が向かっているところは・・・湊にとって今一番、大切な事なんだから・・・。」
「戻ってこなかったら?」
「・・・。いや。今、約束、した。だから・・・例え何があっても、少なくともあの子は・・・きっと戻ってくる・・・。」
「嫌な質問、したね、すまない。ただ・・・。とりあえずどういう結果になろうとも、俺はあの子の命さえ救われたら、それで満足だ。」
「・・・うん。・・・本当は傍についていたかった。湊は笑ってくれたが・・・あの子の体は・・・ボロボロのはずなんだ・・・。なのにああやって会いに行く・・・。尊敬するとともに、見当違いだと分かってはいるけど、激しく嫉妬したね、あの“黒き刃の紋章”の持ち主に。」
「・・・ああ。」
「湊が一人で行きたがっているから、てのもあるけど・・・、きっと僕はあの子について行ったら・・・あの子の命の為と・・・そして激しい嫉妬であいつを殺してしまうだろうよ。湊の意思を無視して。」
「・・・ふふ、分かるよ。」
「・・・そんな事であんたと意見が合うとか、ほんと冗談じゃないね。」
「あら、そこでいつものルックのツン、かい?」
「・・・ったく、あんたは・・・。・・・でも・・・でも僕は・・・。命は助かって欲しいけど・・・でも本当は湊には・・・真の紋章持ちには・・・なって欲しく、ない・・・。」
「・・・。」



「約束通りだね・・・この地で、再び・・・。僕らの旅はここから始まった。最初は一つの道を歩んできた僕らだったけど、いつの間にか、別の道を目指していたね・・・。・・・でも、後悔はしていない。後悔するなら、都市同盟を裏切って、アナベルさんをこの手にかけた、あの時にしていたはずだからね・・・。」

湊はあの地でジョウイと向き合っていた。あの2人でつけた印のある岩の前で。滝の音がやたら静かに聞こえる。

「多分、僕らはよく似ていたんだね・・・。僕も、君も同じものを目指した・・・。でも、僕は・・・ハイランドのキャンプで君達を逃がした後、僕は捕まり、そこで再びルカ・ブライトと会った。僕はルカの凶行を憎悪しながら、その強さに、心魅かれたのかもしれない・・・。」
「ジョウイ・・・。」
「その強さがあれば、全てを守れると思った。誰をも傷つけることのない優しい世界が手に入ると思った・・・。」
「・・・。」
「しかし・・・、いや、もうやめよう。同盟軍のリーダーと、ハイランド王国の皇王の戦いだ。これが、本当に・・・最後の戦いだ。」
「戦う必要なんてないじゃないか!何を言っているの?ジョウイ?」
「必要は・・・あるさ・・・湊・・・。」

そう言って、ジョウイは棍を構えた。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ